最新記事

株の基礎知識

アフターコロナの景気はどうなる? 景気判断の経済指標をイチから解説

2020年6月3日(水)19時20分
山下耕太郎 ※株の窓口より転載

景気と株価の関係

不景気になると、モノやサービスが売れなくなるので企業の業績は悪化し、株価は下落します。景気を判断する景気動向指数から見ても、残念ながら景気は悪くなるほうに向かっているようです。では、株価は下落するのでしょうか? 景気動向指数にも採用されているTOPIXの推移を確認してみましょう。

TOPIXは、2020年3月17日に1,199.25ポイントまで急落。2020年の高値1,745.95ポイントからの下落率は実に32%に達しました。しかしその後は、下げ幅の半分以上を戻して1,580ポイント近辺まで上昇しています。

kabumado20200603aftercovid19-chart3.png

●株価は景気を「先取り」する

「株価は景気の動きを半年から1年先取りして動く」と言われます。ということは、2月から3月にかけてのTOPIXの急落は、夏頃までの景気悪化を織り込んだものであり、その後の戻しは秋以降の回復を見越した上昇、というふうに考えることができます。

つまり、これから発表になる一致指数や遅行指数、あるいはCIといった経済指標の悪化は、すでに株価には織り込み済みということです。それよりも、10月以降に発表される経済指標の動向を意識して、現在のTOPIXは動いていると見ることができるわけです。

「半年先」を考える

もちろん、実際に今後の景気がどうなるかを判断するうえでは、これから発表される景気指標の内容を注視しなければなりません。株価の「先取り」が常に正しいとは限らないからです。

2020年のコロナショックは経済や株価に大きな影響を与え、そのインパクトは2008年のリーマンショック以上とも言われています。ただし、景気がいつまでも悪化し続けることはなく、過去の金融危機などでも2~3年程度で経済は回復しました。

コロナショックによる景気回復がいつになるかはわかりませんが、景気動向指数やGDPといった指標を確認しながら、株式市場では、足下の景気動向を判断しながら半年先の景気を考える、という姿勢が投資家には必要と言えるでしょう。

2020/03/30

[執筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム、対米貿易協定「企業に希望と期待」 正式条

ワールド

インドネシア、340億ドルの対米投資・輸入合意へ 

ビジネス

アングル:国内製造に挑む米企業、価格の壁で早くも挫

ワールド

英サービスPMI、6月改定は52.8 昨年8月以来
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 10
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中