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自己実現か社会貢献か、物質主義か非物質主義か──古い「転職」観は捨てよ

2018年7月30日(月)17時30分
松野 弘(千葉大学客員教授、現代社会総合研究所所長)

最初の10年間(22~32歳)は「基礎能力養成期間」、次の10年間(32~42歳)は「能力展開期間」、40代からの10年間(42~52歳)は「成熟期」であり、次の離陸のための準備期間である。最後の10年間(実際には、52~60歳の8年間)は「離陸期」、次の人生のための戦略的ネットワーク拡大期間となる。

これは長期的なキャリア形成のためのプランである。こうした準備期間を怠ったために、早期退職し、起業や転職に失敗した例を数多く筆者は見てきた。

「転職」は単に高い報酬を得るための職業移動ではなく、自らの潜在能力を発見し、それを発展させていくための機会であるともに、有能な人材とネットワークを形成し、拡大していくための就業機会なのである。

自分の能力、すなわち「顕在能力」(現在の実力)を客観的に分析し、その長所・欠点を把握した上で、「潜在能力」(将来伸びる可能性のある期待値的な実力)を転職によって見出し、高めていくことで、自らの人生目標を達成することが可能となる。

転職はあくまでも手段であり、目的ではないことを忘れてはならない。

[筆者]
松野 弘
博士(人間科学)。千葉大学客員教授。早稲田大学スポーツビジネス研究所・スポーツCSR研究会会長。大学未来総合研究所所長、現代社会総合研究所所長。日本大学文理学部教授、大学院総合社会情報研究科教授、千葉大学大学院人文社会科学研究科教授、千葉商科大学人間社会学部教授を歴任。『現代社会論』『現代環境思想論』(以上、ミネルヴァ書房)、『大学教授の資格』(NTT出版)、『環境思想とは何か』(ちくま新書)、『大学生のための知的勉強術』(講談社現代新書)など著作多数。

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