【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労働参加にもう期待できない」明確な理由
一部の業種では長らく、女性と高齢者に労働力を頼ってきた。今後はもうそれが通用しなくなる(写真は本文と関係ありません) MAHATHIR MOHD YASIN-shutterstock
<「不法滞在者が増え、犯罪を犯している」「外国人が日本の年金・医療にただ乗りしている」などと騒がれるが、実際はどうなのか。雇用の専門家である海老原嗣生氏が、日本の労働市場の現状から、外国人労働者をめぐる制度の仕組み、課題までを扱った新刊『外国人急増、日本はどうなる?』(PHP新書)より一部を抜粋する>
主婦パートは経営にとって天の恵みだった
生産年齢人口が減る苦境を3つの方法でしのいできた日本の産業界。衰退産業からの人材受け入れについては、前項で説明しました。続いて女性ですが、もちろん今後も女性の活躍は進むと考えています。ただ、それは「量から質への転換」がより色濃くなるでしょう。

昭和の頃、女性は結婚もしくは出産まで働き、子供が生まれたら家事・育児に専念、という人生後半は専業主婦型のライフサイクルが主流でした。これが、女性の地位向上がなかなか進まない原因にもなっていたといえるでしょう。
【海老原嗣生氏に聞く】YouTube対談を見る
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それが平成期に入ると、夫の収入が上がらないために、子育て終了とともに、40歳前後で再び社会復帰する女性が増えました。こうして専業主婦が減ることで総就業者数が増えたのです。
女性の就労は量から質に転換。パート人材は枯渇する
ただし、子育てを終えた熟年女性を、正社員で採用してくれる企業は多くありません。そこで、彼女らは、第三次産業のパート求人に応募するしかなかった。これは、パート従業員を多数抱える日本の流通・サービス業にとって、福音にほかならなかったでしょう。優秀な女性を、安く大量に雇える時代が長らく続いたのですから。
この「専業主婦からパート主婦」という、就労促進策が、今まさに壊れようとしています。
これまで拙著で何度も書いてきたことですが、2000年代に入り、四年制総合大学を卒業し、総合職正社員として働く女性が増えました。総合職は育成に時間がかかります。長期間かけて育てた30代女性が、2010年代になると、「出産・育児で退職してしまう」という頭の痛い問題に、多くの企業が悩まされました。






