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米経済

トランプ関税はまるで法人税...黒人女性向け美容業界にも意外な打撃

2025年8月24日(日)18時25分

カリフォルニア州の美容関連用品店創業者のダイアン・バレンタインさん(55)は、中国に145%関税が課されてからすぐ、その影響を初めて実感した。ロサンゼルス港で2万6000パックの編み込み用ヘアを入手するため、30万ドルの支払いを迫られた。

「この段階でこれほどの損失を被るなんて壊滅的だ」とダイアンさんは嘆いた。

以来、編み込み用ヘアと紐で結ぶタイプのポニーテール用エクステの価格を20%値上げ。従業員4人を解雇し、穴埋めのため州内2店舗で1日16時間働いている。

店で扱う商品のおよそ50%は中国製であり、人工ウィッグやプラスチック製カーラー、ゴムバンド、くしやブラシなどの価格は上昇傾向にあるとダイアンさんは述べた。

「自宅でヘアを整える女性が増え、美容熱が高まり、客足が伸びるかもしれないと思っていた」と彼女は述べた。「でも今のところ来店者は減る一方で、常連客が来る頻度も減っている」

<苦境に立つサロン>

美容関連商品の売り上げは景気低迷期でも安定していることが多いものの、美容サービスは「必要不可欠ではない支出」と見なされるというのが、市場調査会社IBISワールドのシニアアナリスト、マーリー・ブロッカー氏の分析だ。

「これらの輸入品への関税は、海外の製造業者から直接購入する場合でも、米国内の卸売業者から購入する場合でも、サービス提供者のコストを直接押し上げる」と同氏は言う。

ニールセンIQの調査によると2022年、米国の黒人消費者によるヘアケア製品への支出はおよそ22億9000万ドルだった。

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