最新記事
観光

「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート代表が語る、持続可能な観光のカギとは?

YOSHIHARU HOSHINO

2025年7月14日(月)16時22分
レジス・アルノー(フランス・ジャポン・エコー編集長、フィガロ東京特派員)
「オーバーツーリズムは存在しない」星野リゾート代表・星野佳路氏が観光立国・日本の未来を語る

老舗旅館やホテルを新しいビジョンで生き返らせてきた星野佳路 SHOKO TAKAYASUーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<観光業の既成概念を覆し続けてきた星野佳路が提案するのは、「需要の分散」と「地域の魅力の再発見」によって、混雑と過疎の両方を解決する、新たな観光モデルだ>

今シーズンは76日スキーをしたよ──。星野リゾートの星野佳路代表(65)は、そう言って楽しそうに笑った。

76日? インタビューをしたのが6月3日。昨年8月にシーズンインしているそうだから、スキー靴を履く日が4分の1はあるということか。スイスのゲレンデにあるレストランでオンライン会議をしながら、「福井のホテルの件、進めてくれ......ちょっと待って。チーズフォンデュをもう少し!」と注文する星野を想像してしまった。


だが、実際の星野は大忙しだ。なにしろ100年以上続く軽井沢の温泉旅館をホテル運営会社に変身させて、ラグジュアリーな「星のや」、温泉旅館の「界」、リゾートホテルの「リゾナーレ」、都市ホテルの「OMO(おも)」など多様なブランドを展開してきた。

星野リゾートの成長は、日本に世界中の観光客が押し寄せるようになった時期、そして日本政府が観光業を重要産業と位置付けて推進するようになった時期と重なる。「当初は、オーナーから運営依頼のあった施設の地域から必ずしも歓迎されたわけではなかった」と、星野は振り返る。「今は多くの地域が大歓迎してくれる」

1991年に星野が実家の温泉旅館を引き継いだ頃は、日本の旅館業全体が落ち目だった。「彼は観光業界だけでなく、日本の中小企業にとって希望の星だ」と、ある世界的な観光企業の幹部は語る。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中