最新記事
アメリカ

「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆候、アメリカ独り勝ちはもう終わるのか?

2025年3月30日(日)18時50分
ニューヨークのホームセンター

3月25日、米連邦準備理事会(FRB)の直近の経済見通しでは「軽度のスタグフレーション」が想定されている。写真は2月、ニューヨークのホームセンターで撮影(2025年 ロイター/Jeenah Moon)

米連邦準備理事会(FRB)の直近の経済見通しでは「軽度のスタグフレーション」が想定されている。こうした見方は、コロナ禍以来、諸外国に比べて米経済が堅調に推移してきた局面が近く終了するかどうかを見極めようとしている他のエコノミストの間でも広がっている。

<1970年代のスタグフレーション>

高いインフレと高い失業率が併存するスタグフレーションは、1970年代の米国で起きた事例が有名だ。当時の米国の経済運営は、世界大恐慌以降で最悪だった可能性がある。FRB当局者はデータと政策を見誤り、政府もインフレ対策に失敗した。当時のフォード政権は「今こそインフレを倒せ(WIN)」キャンペーンを展開したが、今では不適切だったとみられている。

エコノミストはここ数週間、トランプ米大統領の下での劇的な経済政策の転換を受けて経済見通しを下方修正し、インフレ見通しを上方修正し、70年代が再来するか否かを巡る議論が高まっている。

理論的には、景気低迷局面で失業率が上昇すればインフレは抑制されるため、景気悪化と高インフレは共存しないはずだ。だが1970年代に物価を押し上げたオイルショックのように、トランプ氏の通商政策による「関税ショック」の可能性が取りざたされている。

トランプ政権の言い分では、関税は規制緩和、減税と相まって多くの雇用を創出し、インフレを低下させる。

現在の経済見通しで想定されているスタグフレーションは、1970年代ほど悪い状況ではない。当時は失業率とインフレを組み合わせた「悲惨指数(ミザリーインデックス)」が戦後で際立って大きく上昇した時期だった。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ウォルマート、時価総額が初の1兆ドル突破

ワールド

ディズニー新CEOにダマロ氏、テーマパークトップ 

ビジネス

これまでの米利下げ、雇用の健全性に寄与=リッチモン

ビジネス

ミランFRB理事「年内1%超の利下げ望む」、現行策
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 8
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 9
    少子高齢化は国防の危機──社会保障を切り捨てるロシ…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中