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子会社化は「論外」、ホンダ案に日産衝撃...危機感の溝埋まらず 

2025年2月12日(水)15時05分
日産自動車の内田誠社長

生き残りを賭けて経営統合を目指したホンダと日産自動車は、両社がそれぞれ抱える危機感の差を埋められなかった。写真は日産自の内田誠社長。2024年12月、ホンダとの共同会見で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

生き残りを賭けて経営統合を目指したホンダと日産自動車は、両社がそれぞれ抱える危機感の差を埋められなかった。ホンダの目には日産の再生計画が「甘い」と映り、子会社化案を突きつけられて社内に衝撃が走った日産は、ホンダのやり方を「論外」とはねつけた。数年前まで規模で勝っていた日産は、ホンダ優位で進む交渉を受け入れられず、世界4位の販売台数になるはずだった統合計画は幻に終わった。


子会社化「冗談にしか聞こえない」

日産の取締役会が統合交渉を白紙に戻す方針を固める2週間以上前の1月中旬。同社関係者は破談の予兆をすでに感じ取っていた。内田誠社長の様子から「交渉はうまくいっていない、話をまとめるのは厳しいと思った」と振り返る。

別の日産関係者によると、両社は1月末をめどに発表する予定にしていた統合の可能性についての方向性を見い出すため、週2回のペースで話し合いを重ねていた。業績が悪化している日産が示した人員・生産能力の削減などの再生計画は踏み込みが甘く、ホンダは納得できずにいた。

複数の関係者によると、日産は工場閉鎖には消極的だったといい、閉鎖した場合に生じる決算上の減損損失を避けたがっていたと関係者の1人は話す。

ホンダ関係者は「実効性を感じられるような再生計画は出てこないし、持ち株会社の統合比率の算出も対等意識が強く平行線だった」と語る。株式時価総額から算定した統合比率は5対1だったが、算出する対象期間などを巡り意見がまとまらなかった。

別の関係者の話では、ホンダは仏ルノーにも接触し、同社が保有する日産株の扱いについて議論した。だが、ホンダが提示した条件はルノーが受け入れられるものではなかった。

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