最新記事
AI

DeepSeekが欧州にチャンス、「ChatGPT」から乗り換え...低価格AIで米国追撃

2025年2月5日(水)08時54分
DeepSeek

ドイツの人工知能(AI)スタートアップ企業ノボAIを率いるヘマンス・マンダパティ氏は2週間前、利用している生成AIを米オープンAIの「チャットGPT」から中国企業ディープシークのモデルにいち早く切り替えた。写真は同アプリ使用中の画面。1月29日、サラエボで撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

ドイツの人工知能(AI)スタートアップ企業ノボAIを率いるヘマンス・マンダパティ氏は2週間前、利用している生成AIを米オープンAIの「チャットGPT」から中国企業ディープシークのモデルにいち早く切り替えた。

ベンチャーキャピタリストの会議に参加するため訪れたスウェーデン南部ヨーテボリでインタビューに応じたマンダパティ氏は「オープンAI(のモデル)を使ってアプリを構築していれば、簡単に他のモデルに移行できる。ほんの数分の作業だった」と語る。


 

ディープシークの出現はAI業界の景色を変えつつある。各企業が従来に比べてごくわずかの費用で利用可能な技術を提供しているからだ。ロイターが取材したスタートアップ企業幹部や投資家は口をそろえてこうした見方を示した。

マンダパティ氏も、ディープシークのサービス利用料金は実勢の5分の1程度で、ノボAIとしては多額の資金を節約できたし、利用する側にとってはこれまでと何の違いもないと述べた。

米国勢に比べて資金調達面でハンディのあった欧州のスタートアップ企業は、最新のAI技術の採用に後れを取ってきた。しかし複数の業界幹部は、ディープシークが状況を一変させる「ゲームチェンジャー」になり得ると期待を寄せる。

ディープシークのモデルを早速採用した英企業ネットマインド・ドットAIのシーナ・レジャル最高商業責任者は「AIの民主化と、巨大テック企業との競争条件平等化に向けた大きな一歩を意味している」と語った。

バーンスタインのアナリストチームの試算に基づくと、ディープシークのモデルの利用料金はオープンAIの同等製品の20分の1から40分の1に設定されている。

例えばオープンAIは100万トークン当たりの料金が2.5ドルだが、ディープシークは現在、同じ基準で0.014ドルだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ

ワールド

米上院議員が戦争権限決議案、トランプ氏のイラン軍事

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中