最新記事
SNS

トランプ時代に迎合、ファクトチェック廃止...ザッカーバーグのメタが示す「右傾化の兆候」

Facebook Embraces Donald Trump

2025年1月9日(木)10時50分
カレダ・ラーマン

かつてリベラル派の代表格だったザッカーバーグは、マスクの筋書きに従ってメタのプラットフォーム(FacebookとInstagramを含む)を右傾化させ、トランプ次期政権に取り入ろうとする姿勢を強めている。

2022年にXを買収したマスクは、保守派の声を増幅させるSNSの拡声器へとXを変貌させた。世界一の富豪であるマスクはまた、推定2億5000万ドルを投じてトランプ陣営を支え、現在は次期大統領に対して多大な影響力を振るっているらしい。

ザッカーバーグは発表の中で、政府と「レガシーメディア」が検閲の強化を推進していると批判した。これに先立ち8月には下院司法委員会に宛てた書簡で、コロナ禍でバイデン政権が同社に圧力をかけてコンテンツを検閲させたと訴えた。

ザッカーバーグは「イーロン・マスクの足跡をたどっている」と指摘するのは、テュレーン大学フリーマンビジネス校の教授で「The Venture Alchemists: How Big Tech Turned Profits Into Power(ベンチャーの錬金術師:ビッグテックはいかにして利益を権力に変えたか)」の著書があるロバート・ラルカ。「しかしザッカーバーグにとってトランプと支持者たちのご機嫌取りは、最近の経緯を前提とすると、それよりずっと難しい」と本誌に語った、

「イーロン・マスクの会社のポリシーに直接言及しながらそうした転換を発表することによって、さらには過去の検閲はバイデン政権に強要されたと主張してレガシーメディアを直接批判することによって、ザッカーバーグは今、新時代、すなわちトランプ時代に向けて、自分を作り直そうとしている」とラルカは言う。

その上で、メタの変化は「私たち全てに永続的な影響を及ぼす」と言い添えた。ザッカーバーグ本人でさえも「悪いものがつかまることは少なくなる。未来の歴史家は気づくだろう」と認めている。

ノースイースタン大学教授(政治科学)のコスタス・パナゴプロスは「他社と同様、メタも、次の4年間はトランプがホワイトハウスの主になることを意識しており、ザッカーバーグは自分と自分の関心事に対して大統領が好意的に接してくれることを望んでいる」と本誌に語った。

「トランプと良好な関係を築けば、あるいは少なくとも悪い関係でなければ、メタのためになる。こうした最初の一歩はほとんど象徴的なもので、目的はザッカーバーグがトランプの意に沿う姿勢を示すことにある」(パナゴプロス)

ただし「ザッカーバーグがトランプに気に入られるためにできることには限界がある。トランプのメタに対する介入にも限界があるように」ともパナゴプロスは指摘する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル・イラン衝突、交渉での解決が長期的に最善

ビジネス

バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付

ワールド

訂正-韓国大統領、日米首脳らと会談へ G7サミット

ワールド

トランプ氏、不法滞在者の送還拡大に言及 「全リソー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中