最新記事

BOOKS

2、3冊の同時並行読みを15分──「5つの読書術」を半年続けることで表れる変化とは?

2023年3月1日(水)09時57分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(3)段落読み──眺めると見える景色

文章を目で追うのではなく、段落全体を、いわば眺める。遠くから見る。

アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が新聞各紙を速読するとき、この手法を使っていたといわれる。

文章のひとつひとつを等速直線運動で読んでいく必要はない。文章には、読み飛ばしていいところと、注意して読まなければならないところが散在している。必要部分を、発見するように全体を眺める。

その場合、とくに接続詞に注目する。逆接の接続詞、「しかし」「だが」「けれども」「ところが」などが、段落の始まりに置いてある場合は、そのパラグラフ全体が文章の重要部になっている可能性が高い。少しスピードをゆるめる。論理構成を読みとる。

「第一に」「第二に」というアクセントに注目するのもいいだろう。ポイントを箇条書きにしている。

速読といっても、緩急をつけるのが大事だ。超高速で「眺める」ところがあり、少し注意して「目で追う」ところがある。しかし、けっして音読も疑似音読もしない。

(4)探し読み──問題意識の自覚

目的意識をはっきりさせて読む、と言い換えてもいい。

わたしは新聞や雑誌に記事を書くライターでもある。35年間、じつにいろんな人にインタビューさせてもらってきた。小説家にミュージシャン、俳優、映画監督、ダンサーら芸術系の人も多いが、政治家や経済人、学者にもよく取材した。

事前に、相手の作品や、その人について書かれた記事、インタビューをどれだけ多く目にしておくかが、取材の成否を握る。こういうときに役立つのが、超速読術だ。本で言えば、一冊につき15分から30分くらいで読みあげるイメージ。

仕事はつねに、何本かを同時並行して進めていた。ほんとうは取材対象についての本や資料を何冊も精読して向かうのだが、取材場所に着くあいだの、電車やバスに乗っているわずか十数分で下調べをすませるという、本来あってはならない綱渡り取材も、けっこうした。

そんなとき、漫然と読んでいたのではとても間に合わない。だから、自分はそもそも、その取材相手になにを聞きたいのか、煎じ詰めてよく考える。すると、そのトピックに近接する単語が目に飛び込んでくるようになる。

本であれば、目次をじっくりと眺める。どの章を読めば、自分が聞こうとしているテーマが書かれているか、だいたい分かるものだ。その章を集中して、読むというより、探す。キーワードをピックアップしていく。

漠然とした情報ではない。自分は、この著者になにを聞きたいのか。この本からなにを知りたいのか。まずはそこを確定する。速読は、自分の目的を考えることから始まる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か

ワールド

OPECプラス、減産延長の可能性 正式協議はまだ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中