最新記事

EV

電動トラックがブレイク、グーグル搭載車が急増? 2023年、自動車業界10の予測

TEN AUTO PREDICTIONS

2023年1月26日(木)11時50分
ジェイク・リンジマン
車

トラックの実用性とスポーツカーの性能を備えるというテスラのサイバートラックも納車開始 TESLA

<不況で需要は減少、電動トラックが人気に、専門家に聞いた今年の自動車10のトレンド>

アメリカの自動車業界にとって、2022年は忙しい1年だった。

フォードの電動ピックアップトラック、F-150ライトニングの供給が追い付かず、購入者から納車時期の問い合わせが殺到したのが年初のこと。同じ頃、やはりフォードの小型電動ピックアップ、マーベリックが発売から間もなく売り切れ、今も品薄状態だ。

秋にはゼネラル・モーターズ(GM)のGMCブランドが、電動ピックアップのシエラEVデナリを公開。ピックアップ以外では新興メーカー、ルーシッドの高級セダン、ルーシッド・エアなどの電気自動車(EV)が話題になった。ダッジはアメリカ初となるEVマッスルカー、チャージャー・デイトナSRTを発表し、メルセデス・ベンツはEVシリーズEQのラインアップを拡大した。

サプライチェーンの混乱は続いたが、自動車メーカーと充電設備を手掛ける企業がタッグを組んで、EV用インフラを整備。家庭用充電設備が人気商品となった。

さて、ここまでが昨年の話。本誌自動車担当チームは、エキスパートに23年の展望を聞いた。プロが予測する10のトレンドを紹介する。

◇ ◇ ◇


1. 供給は改善される

230131p43_JDG_06.jpg

発売から品薄が続くフォードF-150ライトニングの上位モデル、プラチナム FORD MOTOR CO

「在庫は昨年より増えるものの、生産を妨げるサプライチェーンの停滞は今年も続く」と、調査会社S&Pグローバル・モビリティの研究・分析部門でアシスタントディレクターを務めるステファニー・ブリンリーはみる。

S&Pグローバル・モビリティは、アメリカでの今年の新車販売台数を1470万台と予想する。4年連続で1700万台を下回ることになり、累積需要は解消されない。

「しかし、景気の後退により累積需要自体が減少するとみられる。今年は新車を求める人が減るかもしれない。新車の販売力は昨年よりも上がるが、アメリカの小型乗用車市場は好況とは言えない」

2. 景気後退で需要に歯止め

「この2年間、自動車メーカーは半導体をはじめ新車の生産に必要な物資の調達に苦心し、在庫不足が大々的に報じられた。新車の販売台数は落ち込んだが、それは需要が減ったせいではない」と語るのは、コンサルティング会社オートパシフィックのエド・キム社長。

「問題を深刻化させたゼロコロナ政策を中国が緩和したこともあり、今年はサプライチェーンに改善の兆しが見られる。結果的に新車の供給はかなり増えるだろう。

ただし景気の後退はほぼ確実で、多くの消費者が新車の購入を見合わせるかもしれない。せっかく供給が改善しても、同じタイミングで需要が減る可能性は大いにある」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日本の国債管理政策、マーケットとの対話は世界一緊密

ビジネス

午前の日経平均は反落、米ハイテク株安を嫌気 TOP

ワールド

中国、岩崎茂元統合幕僚長に制裁 ビザ制限・資産凍結

ワールド

原油先物は反発、米・ベネズエラ緊張化による供給途絶
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中