最新記事

ビジネス

プレゼンで強調したい部分に赤を使うな 相手の目を引く「意外な色」とは?

2021年12月13日(月)16時15分
越川慎司(株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員) *PRESIDENT Onlineからの転載
プレゼン資料とノートパソコン

相手に伝わる資料を作るにはどうすればいいのか?  *写真はイメージです Photobuay - iStockphoto


相手に伝わる資料を作るにはどうすればいいのか。働き方改革の支援を行うクロスリバー代表の越川慎司さんは「文字色を赤くしがちだが、目がチカチカする色は敬遠される。最もインパクトを残せるのは意外な"あの色"だ」という----。

※本稿は、越川慎司『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

「文字ぎっしりはうんざり」「疲れない資料がいい」

クライアント各社から5万枚以上のパワポスライドを収集し、文字数や色、図形の有無などについて、AIを使ってパターン分析をしました。

「なぜ人を動かせたのか?」を探るために、各社868人の意思決定者(予算を持っている権限者)に対面ヒアリングとウェブアンケートを行い、いくつかのパワポ資料のパターン比較(A/B比較)と、自身の意思決定に影響を与えた資料の提示をお願いしました。そうしたことからも「人を動かす資料」の特徴がわかってきました。

資料の中身はもちろん重要ですが、デザインの特徴だけを見ても、資料作成の本質的な目的を再確認することができるのです。

意思決定者は以下のようなコメントを多くしていました。

「文字ぎっしりの資料はうんざりする」
「わかりやすい資料がいい。受け手が理解するのにエネルギーを使わない疲れない資料」
「大切なことに絞った資料がいい」

こうした言葉からわかるのは、人を動かすことができるのは"重要な点に絞った資料"だということです。調査した意思決定者のうち78%は、10秒以内で「わかりやすい資料かどうか」を判定しているとのことでした。

「要点は何?」を10秒以内でわからせる

わかりやすさの判定基準は「10秒以内で①資料の要点を理解できること、②それを記憶しておくべきかの判断を終えられること」です。

②についてはコントロールできない部分もありますが、①の「要点は何か?」を10秒以内でわからせるようにすることはできます。

多くの人は、自分の伝えたいことをそのままスライドに書き起こした資料を作りがちです。限られた時間でできる限り多くのことを伝えたいので、必然的にスライド内の文字数が多くなります。それを根拠のない自己満足のデザインでまとめて、凝ったように見えるだけの資料を作ってしまうのです。

しかし、実際に相手を動かせるのは、大切なポイントに絞って10秒以内に「要点は何か?」がわかるようにしたシンプルな資料です。

この点を押さえて資料作成に臨んだ2万3000人の資料作成講座(クロスリバー主催)の受講者は、94%が「効果を実感した」と答えていました。

伝える資料ではなく"伝わる資料"を目ざさなければならないのです。

赤文字では意外と誘導できない

人は五感を通じて情報を脳に取り込みます。より長く、そして鮮明に覚えてもらうためには、視覚を通じて情報を入れるのが効果的であると昔からいわれています(『産業教育機器システム便覧』1972年)。実際、活躍社員も相手の視覚を意識して資料を作成していました。

そこで、資料においても、相手の視覚を意識することで「伝わってほしいことに誘導できるか」を確かめる実験を行いました。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、一部帰化者の市民権剥奪強化へ=報道

ワールド

豪ボンダイビーチ銃撃、容疑者親子の軍事訓練示す証拠

ビジネス

英BP、豪ウッドサイドCEOを次期トップに任命 現

ワールド

アルゼンチンの長期外貨建て格付け「CCC+」に引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中