最新記事

DX

DXには日本の生き残りがかかっている──確実に訪れる変化への対応に必要なもの

2021年6月10日(木)06時55分
flier編集部

── コロナ禍の影響で日本のDXは加速しているのでしょうか。

そうですね。コロナをきっかけに時計の針が早まり、日本の産業界全体でDXの動きが加速しています。消費活動がデジタルに移行したため、企業もまたデジタルシフトを真剣に迫られているのです。もちろん自動車業界のように、CASE(※注2)に対応すべくビジネスモデルを根本から見直そうとしている業界もあります。

だからこそ、ここでDXに乗り遅れると、あらゆる業界で起こる再編の波に飲み込まれ、日本はさらに「失われた30年」を過ごすことになってしまう。生き残りをかけて是が非でもDXを実現していかないといけない。それを伝えたい一心で、本書『ZERO IMPACT』の執筆に至りました。

(※注2):CASEとは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語を指す。

210608fl_hn01.jpg

ZERO IMPACT ゼロ・インパクト
著者:鉢嶺登
出版社:日経BP
flierで要約を読む

自社の存在意義を問い続けた先

── 御社は昨年社名を変更してDX支援事業に注力するという大転換を果たしました。伸びている事業からの転換には大変さがあったと思います。その経緯と、変革への意志を支えたものは何だったのか、教えていただけますか。

私たちデジタルホールディングスもまさにDXに挑戦中です。もともと本業のネット広告代理事業は伸びており、黒字で利益が出ているのに業態を変える必要性はなかったといえます。

しかし、ネットの特性を考えると、代理店のような中間業者の存在がなくならないまでも、付加価値が低減していくのは目に見えていた。それに、ネット広告よりもDX支援の方が社会的意義が大きいのではないか。自分たちの存在意義とは何か、社内で議論を繰り返しました。

DXは社会の要請であり、デジタル化に困っている企業は目の前にたくさんいらっしゃる。一方、私たちの会社には約1600人のデジタル人材がいる。それならDXを推進するデジタルシフトカンパニーに進化することで、さらなる社会のニーズに応え、未来の産業界の発展に寄与できる。それこそが自分たちの存在意義ではないか――。

変化にあらがうのではなく、変化の波を乗りこなそう。そうした決意のもと、2020年7月にデジタルシフト事業へと主力事業の転換を宣言しました。

もちろん現場での混乱も少なからずありました。それでも現場の一人ひとりが変化のなかで自社の進むべき道は何か、主体的に考え、行動してくれています。そんな試行錯誤を経験している私たちが、日本におけるDXのモデルケースの一つになればと考えています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー総選挙、ASEANの優先事項でない=マレ

ビジネス

良品計画、8月31日の株主に1対2の株式分割

ビジネス

日経平均は小幅続落、ファーストリテが320円押し下

ビジネス

英GDP、5月は前月比-0.1% 予想外に2カ月連
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中