最新記事

金融

米ネット掲示板発の株取引熱、欧州に波及 個人取引が急拡大

2021年2月13日(土)22時00分

オンライン掲示板サービスのレディット内の株式取引フォーラム「ウォールストリートベッツ」を足場に広がった米個人投資家の熱狂が、欧州にも波及している。写真はレディットのロゴのイメージ写真。2日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

オンライン掲示板サービスのレディット内の株式取引フォーラム「ウォールストリートベッツ」を足場に広がった米個人投資家の熱狂が、欧州にも波及している。銀行や証券会社が明らかにした。

英国や他の欧州諸国では、比較的若い投資家の間でオンライン取引プラットフォームの利用が急速に拡大しているほか、既存の証券会社での株式取引も増えている。米個人投資家は今年に入って米国のゲームストップやAMCエンターテインメントといった銘柄の売買でもうけたが、これと同じような体験ができると期待し、そっくりまねをする動きだ。

英国を拠点とするオンライン証券取引プラットフォームのフリートレードはロイターに、1月の新規契約が16万件を超え、契約総数も50万件を突破したと述べ、まさに「レディットラリー」と呼ばれる株高がもたらした熱気のおかげだと指摘した。

同社のドッズ最高経営責任者(CEO)は「特定の株式や資産クラスが値上がりする可能性を巡って投資家が非常に興奮している局面では、それにまつわる話が金融界から一般社会に広がっていくことがあり得る」と熱気の背景を説明する。

欧州では昨年から既に個人の株取引は活発だった。自由になるお金を抱えたまま新型コロナウイルスのパンデミックのため自宅に閉じこもって退屈な時間を過ごしていた個人投資家が、市場の乱高下で一稼ぎしようとしたところに、簡単に使えるさまざまな投資アプリが登場して彼らに手段を提供したからだ。

アムステルダムが拠点のデジタル専業証券BUXのニック・ボートット共同CEOは、個人の株式取引が急増した理由として、欧州大陸に(1)超低金利(2)住宅価格高騰(3)不十分な年金制度――という他の面の条件があった点も忘れてはいけないと指摘。そこにレディット発の熱狂が加わり、投資を一気に加速させたとみている。

ボートット氏は「ゲームストップなどの株価が大きな話題となってからの数週間で、1日で数千もの顧客が当社を利用するようになった。これは通常時の平均の2倍ないし3倍の規模になる」と驚く。

既存の証券会社も恩恵に浴している。英バークレイズによると、1月の顧客による証券会社相手のクレジットカードとデビットカードの支払額は前年比で300%に上った。支払額の増加は昨年から続いており、主に18歳から29歳の若者が主体だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中