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展望2021:アメリカの内向きはバイデン政権でも続く 中国が日米同盟試す恐れ

2021年1月3日(日)12時27分

外交政策に詳しい自民党の山口壮衆院議員は、相対的に国力が低下した米国の内向き姿勢はバイデン政権移行後も大きく変わらないとの見方を示した。写真は日本と米国の国旗。ニューヨークで2016年11月撮影(2020年 ロイター/Andrew Kelly)

外交政策に詳しい自民党の山口壮衆院議員はロイターのインタビューで、相対的に国力が低下した米国の内向き姿勢はバイデン政権移行後も大きく変わらないとの見方を示した。一方で、中国の共産党政権も盤石ではなく、体制が動揺する場合、日米同盟を試すような行動に出るリスクを指摘。外交努力の必要性を強調した。

米中の対立は続く公算が大きく、日本は両国の橋渡し役が求められるとも語った。山口氏は外務省出身。民主党所属時代は外務副大臣を歴任し、現在は自民党二階派の事務総長を務める。

パックス・シニカの時代

山口氏は、アフガニスタンやイラクでの戦争を経て、米国の国力が相対的に低下したと指摘。「『パックス・アメリカーナが終焉(しゅうえん)した』とは言わないが、『終焉したのか』という議論は説得力を持つ」と述べた。

自国の利益を最優先にしてきたトランプ現政権からバイデン新政権に移ることで、米国の内向きな姿勢が終わることに期待する向きがあるものの、「トランプ大統領ほど『アメリカ・ファースト』ということはなくても、世界各地で米国のコミットメント(関与)を低下させていくだろう」と語った。

バイデン政権も在日米軍の駐留費負担増額を求めてくる可能性があるとし、日本は「(米軍を)引き止めるため自分で強くする姿勢が重要」と、自主防衛を強化する必要性を訴えた。

山口氏は、米国一強の時代が終わりに向かう一方で、中国が覇権を握る「パックス・シニカにはならない」とも指摘。「全体主義と資本主義は相性は悪い」とした上で、「現在の共産党体制がいつまでもつづくと思わない方がいい」と語った。中間層が厚みを増してきたためとし、「習近平国家主席が香港情勢(民主化運動)を怖がるのもそれが理由」と述べた。

米中が加盟する経済圏を

山口氏は「共産党政権が危機にひんすれば日米同盟(が機能するか)を試してくる可能性がある」と、日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)などで軍事衝突が起きるリスクに懸念を示した。そうした事態を回避するよう、外交努力の必要性を強調した。

その一環として、山口氏は日本が米中間の橋渡し役を担うべきだと指摘。「経済連携のネットワークづくりが重要だ。環太平洋経済連携協定(TPP)だけでなく、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、それらを結合する環日本海経済圏を構築し、米国と中国の双方が入る場を作り、経済圏の統合を目指すべき」と提唱した。

米国のTPP加入は国内の反対が予想される一方、「中国ははっきり加入に興味を示している」と語った。

*インタビューは12月22日に実施しました。

(竹本能文 編集:久保信博)

[ロイター]


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