最新記事

米企業

米政府vsフェイスブック、証拠をそろえ「独禁法」違反で法廷へ

The FTC Takes on Facebook

2020年12月14日(月)17時50分
アーロン・マク

米議会の公聴会でリモート証言するフェイスブックCEOのザッカーバーグ(10月28日) MICHAEL REYNOLDS-POOL-REUTERS

<インスタグラムとワッツアップの分離、競合製品の開発業者に対するアクセス制限の停止を求める米連邦取引委員会に対し、創業者ザッカーバーグは徹底抗戦の構え>

ついにアメリカ政府が伝家の宝刀を抜いた。しかし敵もさる者、迎え撃つ備えにぬかりはない。

去る12月9日、米連邦取引委員会(FTC)はフェイスブックを独占禁止法違反の疑いで提訴し、SNS業界での支配的地位を守るために同社が長年にわたり不法な手段で競争を阻害してきたと非難した。具体的には2012年のインスタグラム買収と14年のワッツアップ買収、そしてソフトウエア開発業者に対する各種の圧力を「独占的」行為と認定している。

FTCは同日の声明で、未来のライバルたちが「フェイスブックにつぶされるという恐れ」なしに活動できる状態を回復したいと述べ、同社に対してはインスタグラムとワッツアップの分離と、競合製品の開発業者に対するアクセス制限の停止を求めるとした。

フェイスブックは2012年にインスタグラムを10億ドルで、14年にワッツアップを190億ドルで買収した。しかも当時、FTCも反対しなかった。「何年も前に買収を承認したのに、今になってFTCはやり直しを求めている」。同社の広報チームはツイートでそう反論し、ユーザーを無視した暴挙だと非難した。

しかしFTCは、フェイスブックによるツイッター買収工作(失敗に終わった)や競合他社からの証言、大量の社内メールなど、疑惑を裏付ける証拠をそろえている。創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグが「競争するより買収してしまえ」と述べた2008年の電子メールも握っている。

周到に対抗策を準備

会社分割を狙う当局との戦いに備え、フェイスブックは何年も前から策を練ってきた。2019年にはザッカーバーグが独禁法違反による提訴を会社の「存続に関わる」脅威と呼び、徹底抗戦を誓った。

報道によれば、ザッカーバーグは2019年、インスタグラムとワッツアップ、フェイスブックメッセンジャーのインフラ部分を共通化し、どのプラットフォームでも相互に送受信できるようにする作業を急げと指示している。そうすればどのユーザーもフェイスブックの世界に囲い込め、自分の目が届きやすくなるからだ。

既にフェイスブックマーケットプレイスで売買する人たちの交信をワッツアップ経由にしている。こうして各種サービスを絡ませてしまえば、分割はますます難しくなる。この9月にはインスタグラムのユーザーがフェイスブックメッセンジャー上でチャットできるようにもしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

JPモルガン、英利下げ時期の予想を先送り 27年第

ワールド

UAE主要原油拠点に攻撃、積み込み一時停止 タンカ

ビジネス

独ZEW景気期待指数、3月は-0.5に急低下 中東

ワールド

インド、ホルムズ通航巡るイランとの拿捕タンカー返還
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 7
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中