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コロナ禍で旅客機を貨物機にリノベ ネット貨物増で「改造機」活躍

2020年12月21日(月)08時42分

航空会社や航空機リース会社は、新型コロナウイルス流行で中古航空機の価格が暴落する中で旅客機の貨物機への転換(P2F)を急いでいる。写真はシンガポールで、貨物機に転換されたエアバスA321機。2日撮影(2020年 ロイター/Edgar Su)

航空会社や航空機リース会社は、新型コロナウイルス流行で中古航空機の価格が暴落する中で旅客機の貨物機への転換(P2F)を急いでいる。新型コロナ禍により今後も電子商取引の拡大が続くと見込んでいるためで、P2F事業を手掛ける企業にとっては大きなビジネスチャンスが生まれている。

P2F企業にはシンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング(STエンジニアリング)やイスラエルのエアロスペース・インダストリーズ(IAI)、米エアロノーティカル・エンジニアーズなどがある。

分析会社シリウムは、全世界のP2F件数が2021年には前年比36%増の90機となり、22年にはさらに109機に増えると見込んでいる。市場分析部門の責任者、クリス・セイモア氏は「売却の大半は来年で、少なくとも40%が2022年になる」と予想した。「ボーイング737-800やエアバスA321、A330など新型機で転換が増えているが、米アマゾン・ドット・コムがこの数年間で自前の航空貨物部門を整えたことがけん引役となり、ボーイング767のような古い機種に対する需要も引き続き強い」と言う。

航空機関連情報を手掛けるイシュカによると、15年落ちの航空機は機種によって評価額が年初から20%ないし47%下落し、P2Fは事業としてのうまみが増している。

エア・カナダはボーイング767数機について貨物機への転換を検討しており、ロシアのS7航空はリース会社GECASからボーイング737-800の貨物転換機を初めて購入。リース会社CDBアビエーションは、STエンジニアリングとエアバスの合弁会社EFWにエアバスA330の貨物機への転換を発注した。

新型コロナ流行では多くの航空会社が旅客機の座席を取り外して貨物の輸送能力を増やすなど一時的な貨物機転用を図ったが、P2Fでは旅客機に徹底した改造がほどこされ、恒久的に貨物機となる。

貨物機への恒久的な転換が行われている背景には、消費者が電子商取引に流れ、新型コロナ流行前に低迷していた航空貨物需要は今後数年、好調を維持するとの読みがある。航空業界は、旅客輸送が2019年の水準に回復するのは2024年以降と見ている。

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