最新記事

日本経済

菅義偉政権誕生で日本株は「買い」になるか? 海外投資家はアベノミクスのやり残した「第3の矢」実行を注視

2020年9月15日(火)16時43分

菅義偉官房長官が自民党新総裁に選出され次期首相に指名される見通しとなったが、海外投資家の間では冷静に受け止める声が多い。写真は14日都内の自民党本部での代表撮影(2020年/ロイター)

菅義偉官房長官が自民党新総裁に選出され次期首相に指名される見通しとなったが、海外投資家の間では冷静に受け止める声が多い。アベノミクス政策の継承表明は好感されているものの、安倍政権時代に進まなかった構造改革や成長戦略といった金融・財政政策以外の「第3の矢」をいかに実行できるかが、日本株への投資を決断する決め手になるとみられている。

注目度高まる日本株

予見可能性を重視する投資家にとって、現行政策の継続を掲げる菅氏への政権承継はポジティブな材料だ。

香港のCLSA証券の日本担当ストラテジスト、ニコラス・スミス氏は「自民党の支持率は第2次安倍政権の発足当時より高く、党内も一枚岩に近い状況。菅氏はアイデア力があり、その調整能力に定評がある一方、派閥のしがらみから自由だ」と次期政権を好意的に評価する。

折しもウォーレン・バフェット氏の米バークシャー・ハザウェイによる総額60億ドルの商社株投資が明らかになり、にわかに日本株の注目度が上がっている。

ドイツ銀行グループの資産運用会社、DWSのアジア太平洋地域最高投資責任者、ショーン・テイラー氏は、景気敏感株の買い増しに関心があると話す。

「本格的なシクリカルバリュー相場の到来は来年に入ってからとみているが、日本株は今後の世界景気の回復局面でその恩恵を受けるだろう。同盟パートナーである米国との関係、そして貿易パートナーの中国との関係をいかに両立させられるか、次期首相のかじ取りに注目している」という。

まだ「アンダーウエート」の投資家が多い

ただ、先月28日に安倍晋三首相が辞意を固めたと伝わって以降の日経平均株価<.N225>は、多少の上下はあったものの概ね横ばいで推移している。東証によると、海外投資家による日本の現物・先物合計の売買は8月第4週が1324億円の買い越し、9月第1週は2356億円の売り越しとなっている。

資産運用の世界最大手、米ブラックロック傘下のブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)は、安倍首相の辞任表明後も日本株の投資判断は「中立」で維持。

BIIのアジア太平洋地域チーフ投資ストラテジスト、ベン・パウエル氏は「経済・財政政策は、ともに現行政策が引き継がれると予想する。今後の投資判断を決めるにあたっては、構造改革において新たに具体的なステップがとられるかに注目する」と述べている。

アベノミクスが始まった2013年には15兆円余りの日本株を買い越した外国人投資家だが、米ゴールドマン・サックス証券の建部和礼ストラテジストによると、グローバルファンドの日本株組み入れ比率は5月末時点でベンチマークの世界株指数(MSCI EAFE指数)を7.6%ポイント下回っており、依然として大幅アンダーウエートの状態だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、イラン攻撃の即時停止要請 米・イスラエルに懸

ワールド

米・イスラエル、イラン最高指導者ハメネイ師殺害 翌

ワールド

再送イラン最高指導者ハメネイ師死亡、国営メディア確

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師が空爆で死亡、86歳 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 4
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 5
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 6
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 9
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 10
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中