最新記事

エンターテインメント

K-POPも韓流ドラマも実は世界で売れていない? 韓国のコンテンツビジネス、ダントツの稼ぎ頭は......

2020年8月3日(月)21時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

K-POPの10倍以上売り上げる1位は......

さて、そんな調査対象コンテンツ産業の中で去年1番売り上げたジャンルは、意外にも「ゲーム」だという。その輸出額は69億8183万ドルでありK-POPなどの音楽コンテンツの10倍以上、なんと輸出売上額全体の67.2%を占め、これほど数多く充実した韓国コンテンツの中でもダントツの1位であった。

これほどの売り上げをあげた大きな理由は、5Gネットワーク環境を活用した実感型コンテンツ及びクラウドゲームサービスなどの充実があげられる。韓国では昨年4月から5Gが既に導入されており、世界に向けて5Gを利用したゲームの開発もいち早く行われてきたことが功を奏したようだ。

続いて、輸出額2位は「キャラクター分野(8億2493万ドル)」だが、全体のわずか7.9%だ。これを見ても1位のゲーム業界がいかに突出して多くの輸出額を稼いだかよくわかる。

韓国発のキャラクターと言われても、あまりぴんと来ない方も多いかもしれないが、実は「ベビーシャーク」という、児童向けのサメのキャラクターと歌がYouTubeなどネットを通じアメリカや南米で大ブームとなっている。このキャラクターの商品化と歌などが売り上げをあげたようだ。

伸び率でK-POPを超えたWeb漫画

全体では10位ながらも注目したい分野と言えば、「漫画」コンテンツである。前年比13.6%も成長し、今後も期待されている。特に漫画コンテンツにはWeb漫画が含まれていて、2019年はWeb漫画のグローバル取引額が、初めて1兆ウォンを突破したという。また、韓国国内ではWeb漫画からのドラマや映画などの映像化が急増しており、今後外国からの映像化権利販売についても期待されるジャンルだ。

映画人の筆者としては気になる「映画コンテンツ」分野だが、2019年は11コンテンツ中最下位の4000万ドルの売り上げだった。今年はコロナの影響があったが、アカデミー4冠獲得し、韓国映画史上最高の世界192カ国に販売された映画『パラサイト 半地下の家族』と、世界185カ国に先行販売されたKゾンビ映画『半島』がある。来年の結果発表ではどのような結果となるかが楽しみだ。

海外輸出が好調だと、自動的に国内コンテンツ産業も潤ってくる。2019年度韓国国内コンテンツ産業売上高は前年比4.9%増加の125兆4000億ウォンだと言われている。特に、アニメーション(11.2%)、知識情報(9.1%)、音楽(8.9%)産業が高い増加率を見せた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド

ビジネス

米、エアフォースワン暫定機の年内納入希望 L3ハリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中