最新記事

日本企業

野村証券「最強」営業部隊に新型コロナの試練 非対面方式で環境変化

2020年6月16日(火)12時27分

野村証券の営業部隊が苦戦を強いられている。国内で「最強」とも言われる販売力を誇るが、新型コロナウイルスの影響で顧客と思うように対面での接点が持てず、現場の営業員からは戸惑いの声が漏れる。新たな営業スタイルの構築に向け、コロナ禍を追い風に変えられるかが課題となる。2016年11月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

野村証券の営業部隊が苦戦を強いられている。国内で「最強」とも言われる販売力を誇るが、新型コロナウイルスの影響で顧客と思うように対面での接点が持てず、現場の営業員からは戸惑いの声が漏れる。新たな営業スタイルの構築に向け、コロナ禍を追い風に変えられるかが課題となる。

ペン1本で1000万円

「俳優から急にラジオDJになったようなものだ。声だけで商品を売り込むのは本当に難しい」━━。ある男性営業員は、コロナ前後の状況変化をこう例える。

野村ホールディングス傘下の野村証券は、5月中旬までの約1カ月間、全支店での店頭業務を取りやめ、営業員が顧客と対面で接することを禁じた。現在は解除されているが、この男性が勤める支店では、対面を求める顧客の数は以前と比べて格段に減った。

「対面という武器がどれほど大きなものだったか、失って初めて分かった」と、この営業員は言う。

野村の営業部門は約7000人の担当者を抱える大所帯だ。同社は海外でたびたび「バンク」と呼ばれ、投資銀行のイメージを持たれることが多いが、営業部門はリーマン危機時でも黒字を確保するなど、伝統的に強みを持つ。過去5年間の平均で、営業部門は全税前利益のうち約4割を稼いだ。 こうした営業の強みは「とにかく汗をかいて足で稼ぐスタイル」(野村の元社員)が支えてきた側面がある。ただコロナ以降、対面営業が思うように進められず、現場はさまざまな課題に直面している。

ある女性営業員によると、ディズニーキャラクターの描かれたボールペンを使っていた際に、ディズニーファンだった顧客と話が弾み、最終的に約1000万円分の債券と投資信託の購入につながったとことがあるという。

この女性営業員は「対面だと仕事の話の前に雰囲気を作れるが、電話ではこうはいかない」と打ち明ける。

また、顧客に多額の損が発生する際に「電話1本で謝罪を済まさなければいけない罪悪感は精神的に相当辛い」と訴える営業員の声もあった。

対面は一部の顧客にとっても欠かせない手段だ。野村と10年弱の付き合いがあるという大阪府の会社経営、澤本頼夫さん(69)は対面による安心感を挙げる。

「営業の人に会わないと、われわれ投資の素人にはお金を突っ込む踏ん切りがつかない。電話だと警戒感も出るし、対面でないと大きな金額は取引しにくい」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ麻薬カルテル、偽情報拡散で恐怖あおる 指導

ワールド

トランプ米大統領の一般教書演説始まる、「黄金時代」

ビジネス

ノボ、来年から米で糖尿病・肥満症薬の定価最大50%

ワールド

英、ビザ不要な85カ国からの渡航者に電子渡航認証の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中