最新記事

通信

楽天携帯事業、通信業界は醒めた視線 「音声通話無料」の破壊力はユーザーに届くか?

2020年3月6日(金)19時06分

通話無料のインパクト

楽天のプランは、独自の統合型アプリ「楽天Link」を通じて提供する通話・ショートメッセージ(SMS)の無料サービスも盛り込んだ。実施中の試験サービスですでに導入しているアプリで、携帯電話事業の本格開始以降も中核に据える構えだ。

通信会社にとって、音声通話サービスは依然、大きな存在だ。例えばドコモの1契約当たりの月間平均収入(ARPU)に占める割合は、2017年度に約3割だった。楽天の通話無料サービスは、こうした従来の音声通話サービスの価値を脅かしかねないと見られている。

これまでも、LINEなどの無料通話アプリはあった。ただ、その多くで無料通話はユーザーID間での通話に限られ、通信会社の音声通話サービスへの影響は限定的だった。ところが、楽天Linkでは、ユーザーID間だけでなく、電話番号による固定電話や他社の携帯電話への通話も無料になる。「大手の音声サービスの価値を完全に破壊する可能性がある」と、UBS証券の高橋圭アナリストは指摘する。

楽天が無料通話に乗り出せたのは新規参入の強みでもある。大手が同様のアプリを導入して対抗する可能性はあるが、自らの音声通話サービスを浸食しかねず、痛し痒しとなる。

例えば、ドコモの携帯電話事業の18年度の売上高は2兆8444億円。音声通話が3割なら、中長期的に無料サービスに取って代わっていく場合、約8500億円分が圧迫されることにもなる。KDDIやソフトバンクも「売上高や利益に数千億円の影響が生じてもおかしくない」(UBS証券の高橋氏)という。

(編集:石田仁志)

平田紀之

[東京 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イランに先制攻撃と発表 米軍もと米紙報

ワールド

トランプ氏、アンソロピック技術の使用停止指示 「サ

ワールド

アングル:5年目迎えたウクライナ戦争、戦車が消えド

ビジネス

パラマウント、WBD買収へ 第3四半期完了の見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「内側」から食い尽くす...カナダの大学が発表
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 6
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKI…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中