最新記事

金融

展望2020:日本経済 日経平均は年半ばまで堅調か、リスクはトランプの対中圧力

2020年1月2日(木)08時15分

2020年の日経平均株価は、年央にかけて比較的堅調に推移するとの見方が多い。写真は2019年1月4日の東京証券取引所大発会で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

2020年の日経平均株価は、年央にかけて比較的堅調に推移するとの見方が多い。米中通商協議が「第1段階」の合意に達し外部環境が好転しているほか、景気の底打ちや東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた高揚感なども支援材料になるとみられている。リスク要因は11月の米大統領選。トランプ大統領や民主党候補者が中国に対して圧力を強めるような場合は、相場調整が深まる可能性がある。

市場関係者の見方は以下の通り。

総じてしっかりとした動き、日本株の出遅れ感も来年は解消

野村証券 エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏

今年は米中貿易摩擦の影響を受けて、資本財や素材の需要がじわじわと減退、世界的な下方修正が続いた。GAFA(米グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとするITやサービスといったセクターを強みとする米国と異なり、製造業を主とする日本にとって打撃となった。

米中貿易摩擦が一段落ついたので、来年は下方修正が続いていたセクターに見直しが入り、日本株の出遅れ感も解消されるだろう。EPS(1株当たり利益)がどの程度回復するかが注目点となる。株価は引き続き米中貿易摩擦や米大統領選を巡るニュースの影響を受けつつも、総じてしっかりとした動きをみせるのではないか。

日経平均の2020年予想レンジ:2万2000円─2万8000円

米中関係をにらみつつN字型上昇波動へ、日経平均3万円回復も

大和証券 チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏

世界経済は米中関係に左右される状況が2020年も続くとみられるが、米中対立緩和によって外部環境は好転、相場の地合いは良くなった。3月ごろまでは堅調な状況が続くとみられる。ただ、米中の歩み寄りは一時的なものであるため、11月に行われる米国大統領選挙に向けた情勢によっては、再び両国の関係に不透明感が台頭しそうだ。

ポイントになるのは、民主党の候補が誰になるかだろう。急進派を避けたい中国としては、候補者が決まるまでファイティングポーズを取ることはない。3月までは中国の姿勢は経済優先となることが想定され、日経平均は2万7000円まで上昇するとみている。

しかし、民主党の候補が急進派以外となれば、中国は米国に対して強気に転じる一方、米国でもトランプ大統領が再選に向けて、中国に対して強硬姿勢を打ち出すとみられ、いったん2万4000円レベルまでの調整がありそうだ。ただ、大統領選挙が近づくにつれ、再び上昇に転じるだろう。年末までに3万円回復があっても不思議ではない。年間を通して、N字型の上昇波動を描くと想定している。

日経平均の2020年予想レンジ:2万4000円─3万0000円。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 10
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中