最新記事

サウジアラビア

サウジアラムコ上場、時価総額204兆円の世界最大の企業に 石油依存脱却目指す

2019年12月12日(木)08時51分

サウジのジャドアーン財務相は11日、ロイターとのインタビューに応じ、アラムコ上場はサウジの石油依存からの脱却と経済の多角化を後押しすると述べた。アブカイクで10月撮影(2019年 ロイター/Maxim Shemetov)

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ<2222.SE>が11日、サウジ証券取引所(タダウル)に上場を果たした。サウジのジャドアーン財務相はロイターとのインタビューに応じ、アラムコ上場はサウジの石油依存からの脱却と経済の多角化を後押しすると述べ、上場の意義を強調した。また外資の誘致にも役立つとした。

アラムコ株の初値は35.2リヤル(9.39ドル)と公開価格の32リヤルから10%上昇、ストップ高で初日の取引を終えた。時価総額は1兆8800億ドルと世界最大の上場企業に躍り出た。ただしムハンマド皇太子が目指していた2兆ドルには届かなかった。調達額は256億ドルと、2014年に上場した中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングを抜き史上最大を記録した。

ジャドアーン氏は「調達額は全額ではないにせよ、その大半が地域の経済やプロジェクトに利用される。(サウジ政府系ファンドの)公的投資基金(PIF)はその筆頭であり、民間セクターの参加拡大が期待される」と述べた。

アラムコは発行済み株式の1.5%を売り出したが、買い手の3分の1はサウジの個人投資家であり、国内資産の保持や貯蓄を後押しするとした。またアラムコ上場は国内の資本市場の深化ばかりでなく、外資の誘致にもつながると強調。「これだけの良質資産であれば投資妙味も高まるし、アラムコが注目されれば、他の国内資産への注目度も増すだろう」とした。

同時にアラムコ上場に伴う国家財政への効果は、目に見えるまで時間がかかるとも指摘。「PIFが取得する金額が250億ドルであろうと1000億ドルであろうと、運用するには時間が要る」と話した。

[リヤド ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設

ビジネス

英BP、第3四半期の利益が予想を上回る 潤滑油部門

ビジネス

中国人民銀、公開市場で国債買い入れ再開 昨年12月

ワールド

米朝首脳会談、来年3月以降行われる可能性 韓国情報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中