最新記事

日本経済

日銀・黒田総裁「2%の物価目標に向け金融政策余地ある、必要なら追加緩和も」

2019年10月19日(土)11時15分

日銀の黒田東彦総裁は、日銀が経済成長を支援する政策余地はまだあるとして、必要なら金融政策を一段と緩和すると述べた。写真は黒田総裁。10月18日撮影(2019年 ロイター/James Lawler Duggan)

日銀の黒田東彦総裁は18日、日本の金融緩和余地はまだあるとして、2%の物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れがある時は、当然、金融緩和を検討すると従来の方針を繰り返した。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はこの日、2日間の討議を経て閉幕した。

黒田総裁は会議後の記者会見で「現時点で日本の金融政策の余地が非常に限られているということはない」と説明。「経済・物価動向をみて、2%の物価目標に向けたモメンタムが失われる恐れがある時は、当然金融緩和を検討する」と語った。

日本経済については「緩やかな拡大を続けており、このような状況が続けば消費者物価指数(CPI)も2%の目標に向け徐々に上昇率が高まる」との見通しを示したが、「それにはなお時間がかかる」とも指摘。「かなり強力な緩和を粘り強く続ける必要がある」と強調した。

その上で「経済・物価情勢を慎重に点検して、必要かどうかを決定する。緩和余地がないということはない」と繰り返した。

会議では参加者から「今後さらに緩和する余地は少なくなっている」との発言もあったという。これについて黒田総裁は「それぞれの国の財政や金融、経済の状況をみないと(判断できず)、一般論として金融政策の余地が少なくなってきたと割り切ることはできない」と述べた。

大規模な金融緩和を続ければバブルが発生するリスクと金融仲介機能が損なわれるリスクがあるが、黒田総裁はバブルについて「日本にそういうリスクは見当たらない」と指摘。金融仲介機能が損なわれるリスクについても「日本の金融機関は毎年2─3%融資残高を増加させている」として、「金融仲介機能が低下しているリスクも今のところ見当たらない」と語った。

*内容を追加しました。

(木原麗花 志田義寧 編集:田中志保)

[ワシントン 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中