最新記事

貿易戦争

中国、インドに警告「ファーウェイ排除ならインド企業の中国ビジネスに影響」

2019年8月7日(水)09時44分

中国はインドに対して、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ))[HWT.UL]を排除した場合、中国で事業展開するインド企業に影響があると警告した。写真は 2日、北京で開かれた消費者家電エキスポに出されたファーウェイのブース(2019年 ロイター/Thomas Peter)

中国はインドに対して、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ))を排除した場合、中国で事業展開するインド企業に影響があると警告した。関係筋が6日、明らかにした。

インドは向こう数カ月間で、第5世代(5G)の通信事業者の入札を実施する予定。インドのプラサド情報通信技術相は、ファーウェイを入札対象に含むかどうかは検討中と述べた。

インド政府関係筋によると、中国外務省は7月10日、インド駐北京大使を召喚し、ファーウェイを世界のインフラから排除する米国の動きに関する懸念を表明。会談後にインドが公表した声明によると、中国当局はインドが米国の圧力に押されてファーウェイを市場から排除した場合、中国で事業展開するインド企業に「報復措置」がある可能性があると述べたという。

中国外務省はロイターの取材に、インドが5Gの入札企業に関して独自で判断することを望むと回答。報道官は声明で「ファーウェイは長くインドで事業展開し、インドの社会と経済の発展に貢献してきた」とした。

インド企業はほかの主要経済国と比べ中国での存在は小さいが、ソフトウエアサービス大手インフォシスやタタ・コンサルタンシー・サービシズ、後発薬大手ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ、複合企業リライアンス・インダストリーズ、自動車のマヒンドラ・アンド・マヒンドラなどの企業が中国市場で足場を固めている。

インドのモディ首相は10月、習近平国家主席を自身の選挙区である北部バラナシに招き、協議する。インドが懸念を示す2018年度の530億ドルの貿易赤字などの通商政策について話し合うとみられる。

モディ氏率いる与党インド人民党とつながりのあるヒンドゥー教至上主義の組織、民族義勇団(RSS)は、ファーウェイに対する批判の度合いを高めている。RSSはインドの自立を唱えており、歴史的に中国に不信感を抱いている。RSSの経済政策を主導するアシュワニ・マハジャン氏は先週、モディ氏に書簡を送り「インドがファーウェイに頼ってよいのかどうかはまだ定かでない。ファーウェイを含む中国企業は入札で他社より安値を付け、足場を固めた上で自国で情報を詮索し、必要であれば遠隔操作でシステムを停止すると世界的に言われている」と警戒した。

インドの国家安全保障諮問会議(NSAB)の専門家は一案として、5G通信網においてファーウェイがハードウェアとソフトウェア双方を提供する状況を避けることを提案。ファーウェイなどのメーカーが提供する機器でインド製のソフトウェアを作動することができるようにすることを推奨した。

[ニューデリー 6日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大麻規制緩める大統領令に近く署名か 米

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中