最新記事

貿易戦争

日米通商交渉は合意なきまま終了 米国が対日赤字削減要求で来週再交渉へ

2019年4月17日(水)09時17分

茂木敏充経済再生担当相は、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との2日間の日米通商交渉を終えた。写真はテレビ画面に映るトランプ米大統領。東京で2018年11月撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

茂木敏充経済再生担当相は16日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との2日間の日米通商交渉を終えた。終了後の会見で、米側は対日赤字を減らしたいとの意向が示されたことを明らかにした。ただ、現時点では合意していないとし、日米首脳会談を前に来週中の再交渉を予定していることを明らかにした。

茂木担当相は、今回の日米通商交渉について「早期にいい成果を出したい」と述べたが「個別の項目については、現時点では合意していない」と語った。

米側は「貿易赤字を減らしたいとの意向を示した」といい、農業分野に大きな関心があるとの説明があった。

具体的には、TPP(環太平洋連携協定)の発効で、米国が不利な状況に直面し「(その状況を)解消したいとの意向を示した」と語った。

これに対し、日本側は「過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限であることを説明した」と述べた。

自動車に関する議論の展開を質問され、茂木担当相は「自動車について、プロセスに関する細かい議論は差し控える」と語り、米国側からの具体的要求や日本側の主張などについては言及を避けた。

その上で茂木担当相は「昨年9月の(日米首脳会談後に発表された)共同声明に沿って議論を進める」とし、自動車に関しては「双方がウィンウィンになる合意を目指す」と語った。

さらに米国が安全保障上の理由で、自動車輸入に高関税を課すことができる根拠になっている米通商拡大法232条については「協議中に232条を適用しないことについて確認を取った」と指摘した。

また、来週の日米首脳会談前に、ライトハイザー代表と再交渉に臨むとの予定を明らかにし、日米首脳会談にも同席する可能性があることを明らかにした。

農業や自動車などの物品とは別に「デジタル貿易の取り扱いについて、適切な時期に議論することで一致した」と述べた。

茂木担当相は交渉の進め方について、農業などの特定分野を先行して決着させるようなことはなく「貿易交渉は、一般的に個別に決めるわけでなくパッケージ合意となる」と述べた。

さらにサービスを交渉範囲に含めるのかとの質問には「米側からサービスについて、具体的な言及はなかった」と指摘。米側は、交渉合意後に制度改正を伴うような「長い時間がかかることを協議の対象にすることは想定していない」と語った。

(編集:田巻一彦)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44

ビジネス

スウェーデン中銀、26年中は政策金利を1.75%に

ビジネス

中国、来年はより積極的なマクロ政策推進へ 習主席が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中