最新記事
金融

マネーロンダリング疑惑に揺れる北欧金融モデル 信頼前提の制度破綻

2019年4月7日(日)19時00分
ロイター

北欧の大手銀行が資金洗浄に関与した疑惑が相次ぎ浮上し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている。写真はデンマークの首都コペンハーゲンにあるダンスケバンク。2018年9月28日撮影(2019年 ロイター/Jacob Gronholt-Pedersen/File Photo)

ダンスケ銀行やスウェドバンクといった北欧の大手銀行に相次いでマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑惑が浮上したことで、相互の信頼を前提に鷹揚な性格で築かれていたこの地域の金融モデルが破綻し、当局による厳しい統制を求める声が強まっている。

非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの評価で北欧は最も腐敗・汚職の度合いが小さい地域となっているが、ダンスケ銀行とスウェドバンクに捜査の手が伸び、両行の株価は大幅に下落した。

政治家、規制当局、投資家などは、締め付け強化やより厳しい罰金制度、自主規制に任せていたシステムの見直しなどを望んでいる。

スウェーデンのボルンド金融市場・住宅相は「われわれの社会の根幹である寛容さは信頼の上に成り立っており、その信頼は著しく損なわれている」と嘆いた。その上で先週スウェドバンクがビアギッテ・ボンネセン最高経営責任者(CEO)を解任した点に触れて「一個人の首を切るだけでは不十分だ」と指摘するとともに、内部管理態勢の抜本的な改革が必要になると訴え、今後政府が何らかの措置を講じる姿勢を強くにじませた。

一連の資金洗浄疑惑の震源地となったのはバルト海に面するラトビアとエストニアだ。両国ともロシアと欧州を金融面で橋渡しするというモデルを構築したものの、悪いイメージを背負うことになった。

エストニア政府は、同国内の支店を通じ2007─15年に不審な資金のやり取りに関与していたことを認めたダンスケ銀に対し、事業閉鎖を命令。同行は隣国のラトビアとリトアニアからも撤退しつつある。

デンマークの学者Gert Svendsen氏は、資金洗浄疑惑で北欧文化の中核的な要素が打撃を受ける恐れがあると懸念し、「信頼に基づいて行動できれば人々はより幸せになれる。だからスウェーデンとデンマークの人々は幸福度がかなり高いのだ」と説明した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国、価格競争抑制へ自動車業界向けガイドライン

ワールド

米・イラン、核協議で柔軟姿勢 米は濃縮一部容認の用

ビジネス

日本車やドイツ車など、中国経由でロシアに流入 制裁

ワールド

世界で政治家への暴力や脅迫急増、新技術が助長=調査
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中