最新記事

ワークプレイス

シェアリングエコノミーで人をつなぐ、オランダ発のコワーキング

個人のナレッジをシェアする自律的ワークプレイス「Seats2meet.com」

2016年2月12日(金)11時55分
WORKSIGHT

S2Mの本拠地ユトレヒトにあるメインワークスペース。


[課題]  自律的なワーカーの仕事場をつくる
[施策]  個人のナレッジをシェアすることに価値をおいた場づくりへ
[成果]  オランダだけで77箇所以上のネットワークを構築

 オランダ国内に77カ所で展開するコワーキングスペース、シーツ・ツー・ミート(以下S2M)。創業からわずか8年あまりでここまでの成長を遂げた理由は、何と無料でワーカーに開放していること。

 もっとも、正確に言えば「タダのようでタダではない」。お金ではなく、ユーザー個人が持つ知識やスキル、ネットワークなどの社会資本を対価として扱うところに、S2Mの革新がある。

【参考記事】クオリティ・オブ・ライフの尊重がゲームの未来を切り開く

 まずは拠点をめぐろう。今回、案内してもらったのはデザインの異なる3つのロケーション。とはいえ、どれも同じシステムで運営されている。

「人と人が出会い、知識を共有し、共に働く場所」

 アムステルダムのオフィスは、コワーキングスペースのほかテナントが併設されている。建物は1911年に証券取引所として建てられたものだが、そこには興味深い謂われがある。

 オランダ人建築家ベルラーヘのデザインだ。「100年前、共産主義だった彼は建物の建設中に兄弟に宛てて手紙を送っています。『ここはアムステルダムの資本主義の象徴となることだろう。しかし、市場経済が破綻したとき、公の、市民のための場所となる。人と人が出会い、知識を共有し、共に働く場所になると思う』。100年かかりましたが、この手紙のおかげで彼のビジョンとS2Mのビジョンがひとつになり、その思いが現実となったのです」と担当マネジャーのシミーナ・ヨンカー氏が説明する。S2Mにとっても、そのコンセプトを象徴する特別なロケーションである。

 続いてアムステルダム郊外のベッドタウン、アルメレ。ここはパブリックスペースにS2Mのコンセプトがうまく取り入れられた例で、図書館内にS2Mの専用エリアが20席設けられている。アムステルダムと違い商業性はなく、地域に根ざした協業の場となっている。

wsS2M-1.jpg

(左上)アムステルダムのベッドタウン、アルメレにあるユニークなデザインの公立図書館。この一角にS2Mのスペースがある。(右上)その日に行われている会議の予定が壁に貼られている。気になる内容があればアクセスすることも可能だ。(下)ふんだんに自然光の入るミーティングルーム。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ナスダック連日最高値、アルファベット

ビジネス

NY外為市場=ドル全面安、FOMC控え

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ワールド

米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行動なけ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中