最新記事

ネット配信

2016年のネット配信はこう変わる──米メディアが予測する動画・音楽サービスの新トレンド

2016年1月18日(月)14時45分
高森郁哉(翻訳者、ライター)

VRおよび360度コンテンツ配信の台頭

 2016年はバーチャルリアリティ(VR)のコンテンツも充実していきそうだ。Varietyによると、Huluは今春、VRヘッドセット向けコンテンツの配信を開始するという。Universal Music Groupも、VRヘッドセットで楽しむコンサートや音楽ビデオなどのコンテンツを年内にリリースする計画だ( Hypebot.comの記事)。先のOnlineVideo.netの予想では、360度ビデオの実験的な配信も、昨年の先行組に加え、今年数社が実験に乗り出すという(以下はフェイスブック上で公開された『スター・ウォーズ』の360度ビデオ)。
 

Speed across the Jakku desert from Star Wars: The Force Awakens with this immersive 360 experience created exclusively for Facebook.

Posted by Star Wars on 2015年9月23日

 360度ビデオは、ブラウザ上の閲覧でも十分に面白いが、VRヘッドセットで見るとさらに没入感が増すだろう。今後マーケティングに活用する企業が増えれば、360度ビデオの特性を活かすさまざまな工夫が試みられて、楽しみ方が広がるはずだ。

定額制音楽配信の高音質化

 音楽に話題を移すと、高音質化のトレンドがストリーミング配信にも及びそうだ。96kHz/24bit以上のいわゆる「ハイレゾ」フォーマット(CDの44.1kHz/16bitよりも解像度が高い)の楽曲は、ダウンロード販売では数年前から提供されてきたが、Fast Companyの予測によると、アップルが今年、ハイレゾ音楽のストリーミング配信を開始。そうなると、有料会員向けに320kbpsの「高音質」圧縮フォーマットを配信しているスポティファイなど、競合サービスにプレッシャーがかかり、高音質化の動きが広がるとみている。

音楽ストリーミングサービスの淘汰

 Fast Companyはまた、現在10社もの定額制音楽サービスが競合する米国では、淘汰が始まるのは時間の問題だとしている。アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾンの4強がすべて参入を果たしたことで、比較的小規模なサービスは撤退または買収されるとし、候補としてTidalやRhapsodyを挙げている。

 なお、日本での音楽ストリーミングの勢力図に影響を与えそうなのが、現在米国のみで提供されているグーグル傘下の「YouTube Music」だ。これは基本的にはスポティファイと同じ、広告付き無料配信と広告無しの有料配信のフリーミアムモデル。日本からYouTube Musicにアクセスすると、日本語でサービス概要が掲載され、「ダウンロード」のボタンからサービス開始の告知を受けるためのメールアドレスを登録できる。スポティファイかYouTube Musicか、どちらかが今年日本でサービスインして、「無料で聴き放題」の時代が到来するかどうかも気になるところだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中