最新記事

メディア

日経はフィナンシャル・タイムズのファンをつなぎ止められるか

マイケル・ブルームバーグも愛した英金融紙FTを日本の経済新聞が買収

2015年7月24日(金)12時34分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

シティの伝統 これからグローバル化を図るというFTだが PETER NICHOLLS-REUTERS

 英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、金融業界関係者に愛された新聞だった。コンパクトで幅広い記事と、鋭い分析が特徴だ。アメリカ人でも、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)よりFTを読む、という人は多かった。アメリカでメディア企業を率いるマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長はかつて、FTは彼が毎日読む数少ない新聞の1つだ、と誇らしげに語ったことがある。

 そのFTを、日本経済新聞社が約1600億円で買収するという。日経も日本を代表する経済紙だが、イギリスの金融街シティの伝統に育まれたFTとは文化も違うだろう。ブルームバーグが買うと思ったのに、というぼやきが早くも聞こえる。

 今回の買収に関して、FTの今後を憂う観測から歓迎論までネット上では様々な反応が見られる。

 メディアアナリストのケン・ドクターは自身のブログで、「日経が欧米の基準でジャーナリズムを運営できるのか?」と問いかけ、「結局は日経の喜多恒雄会長が、FTをFTのままで残し続ける程に賢いと信じるしかないだろう」と語っている。

 また金融ジャーナリストのフェリックス・サーモンは、23日付けでニューヨークタイムズ紙に寄稿したオピニオン記事の冒頭でこう書いている。「高級紙の理想のオーナーとは? まず何よりも、編集の独立性を尊重し、編集作業に口出ししないことだ。紙面で何を言うかは、ジャーナリストが決めることであって、広告主をなだめる業務判断であってはならない」。

 さて日経は、そんな「理想のオーナー」になれるのか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23

ワールド

トランプ氏の核施設破壊発言、「レッドライン越え」=

ビジネス

NY外為市場=ドルまちまち、対円では24年12月以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中