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アップル

ジョブズ型経営を捨てろ

2014年11月18日(火)15時33分
ケビン・メイニー

 IBM、インテル、マイクロソフトの教訓に学ぶなら、クックは社員に納得させるべきだろう。ジョブズ時代は終わり、これからは私の時代だ、と。
それが難しいのは分かる。アップルの社員は全員ジョブズを敬愛し続けている。
今が変革のチャンスだが

 それでもクックにやる気があれば、時代は彼を後押しするはずだ。情報技術は今やクラウドの時代へ、そしてあらゆる人とモノがつながる「インターネット・オブ・エブリシング」の時代へと突入しつつある。

 ジョブズ時代のアップルは直感的に操作できる美しいマシンを次々に生み出した。だが、身の回りのデバイスでネットにつながり、クラウドを通じてソフトやサービスが利用できるようになれば、そうしたマシンは要らなくなる。

 クックが時代の変化を意識している兆候はある。アップルウオッチは新時代に向けた製品だし、アップルがストリーミング音楽サービスのビーツ・エレクトロニクスを買収したのもクラウド時代を視野に入れた動きだろう。しかし、これらはアップルの事業全体から見れば、ごくささやかな試みにすぎない。

 問題はクックがジョブズの伝統と決別し、ジョブズにも理解できないような新製品を打ち出せるかどうかだ。iPadやマックブックに代わって、小型の接続デバイスを主力に据えるような大胆な変革が必要だろう。

 60年前のIBMがそうだったように、会社が乗りに乗っているときこそ思い切った転換が成功する。

 だが困ったことに、業績がいいときほど方向転換は難しい。社員や株主が納得しないだろうし、何よりCEO自身が過去の成功パターンを手放したがらないからだ。その成功パターンこそ一番避けるべきものなのだが。

[2014年11月11日号掲載]

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