最新記事

コンテンツ訴訟

パイレート・ベイ対策に手を焼くレコード会社

違法ダウンロードサイトに業を煮やし、映画・レコード会社がプロバイダー相手にアクセス遮断を求める訴訟

2014年11月13日(木)17時21分
ジェフ・ストーン

訴訟は慣れっこ 違法ダウンロードサイトの創設者の1人ピーター・スンデ(左) Bob Strong-Reuters

 ピア・トゥ・ピアで手軽にファイルを交換・共用できるサイト「パイレート・ベイ」は、映画や音楽などのコンテンツ制作会社にとっては厄介な敵だ。映画会社やレコード会社は過去にもたびたびこのサイトを「著作権侵害の幇助」で訴えてきた。

 創設者らが損害賠償や懲役刑を科されるなど、コンテンツ制作側は一定の勝利を収めてきた。だがサイトは存続し、違法ダウンロードはいっこうになくならない。しびれを切らした映画・レコード会社はパイレート・ベイ発祥の地スウェーデンのインターネット接続サービス会社を相手取って訴訟を起こした。

 スウェーデンの著作権法はアメリカよりもかなり手ぬるい。それでも裁判の行方によっては、スウェーデン国内でもパイレート・ベイの利用が大幅に制限される可能性がある。

 訴訟を起こしたのは、ソニー、ワーナー、それにスウェーデンの映画産業組合と世界屈指の老舗映画会社であるデンマークのノルディスク。訴えられたのはスウェーデンの大手プロバイダー、B2ブロードバンドだ。原告側のレコード・映画会社はこれまでB2にパイレート・ベイへのアクセスを遮断するよう求めてきた。だがB2が顧客の行為についてはプロバイダーは責任を持てないとして、この要請を突っぱねため、レコード・映画会社が訴訟に踏み切った。

 パイレート・ベイは03年の創設以来、じわじわ利用者を増やし、日に何百万件ものアクセス数を誇るまでに拡大した。利用者にとっては映画や音楽やゲーム、ソフトウェアなどをただでダウンロードできる便利なサイトだ。

 このところまた、このサイトがメディアを通じて悪名を轟かせている。10月初めには創設者の1人ゴットフリード・スバルソルムがハッキング行為と重大な公共物破損で有罪判決を言い渡された。スバルソムと共にサイトを立ち上げた1人フレデリック・ネイジは長く逃亡生活を送っていたが、11月初めにタイとラオスの国境付近で逮捕された。

 今回の訴訟では、原告団はパイレート・ベイに加え、映画ストリーミングサイトのスウェフィルマーへのアクセスも遮断するようB2に求めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NBAがアリババと提携、AIパートナーに 6年ぶり

ビジネス

中国の太陽光発電ガラスメーカーが破産申請へ、海南発

ビジネス

米商務省、エヌビディアのUAE向け半導体輸出を承認

ワールド

情報BOX:ガザ和平第1段階合意、詳細なお不明 統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ「過激派」から「精鋭」へと変わったのか?
  • 3
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示す新たなグレーゾーン戦略
  • 4
    ヒゲワシの巣で「貴重なお宝」を次々発見...700年前…
  • 5
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 6
    インフレで4割が「貯蓄ゼロ」、ゴールドマン・サック…
  • 7
    【クイズ】イタリアではない?...世界で最も「ニンニ…
  • 8
    「それって、死体?...」新婚旅行中の男性のビデオに…
  • 9
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中