最新記事

食の安全

「毒食肉」の源はアメリカ?

中国子会社の不潔を詫びる米国親会社OSIグループの恐るべき実態

2014年7月30日(水)13時47分
コナー・シーツ

渦中の向上 上海福喜食品には警察も入ったが Paul Carsten-Reuters

 中国と日本、アメリカのファストフードチェーンに使用期限切れの鶏肉と牛肉を販売し、多くの取引先と消費者を激怒させた上海の上海福喜食品。ケンタッキー・フライドチキンやピザハットを傘下に持つ米ヤム・ブランズなど大口顧客を次々と失うなかで先週、同社幹部ら5人が刑事拘束された。

 これを受け、上海福喜食品の親会社である米イリノイ州の食材卸大手OSIグループは声明を発表。「心からおわびする。再発防止に全力を挙げる」と謝罪した。シェルダン・ラビンCEOは一連の問題について、「絶対に許されないことで、衝撃を受けている」と強調した。

 しかし、OSIの問題は上海福喜に限ったことではなさそうだ。先週まで6年間、ウェストシカゴにあるOSIの巨大な食肉加工工場で働いていたローザ・マリア・ラミレスは「床に落ちた肉を拾って生産ラインに戻すのは日常茶飯事」だった、と言う。

 それどころか「肉に唾を吐いたり、顔の汗が垂れるままにしたり、かんでいたガムをうっかり落としても見つからなければそのままにした。生産エリアに入る従業員は全員手を洗うことになっているが、ほとんど誰も洗わない」と言う。

 ラミレスの話は、匿名を条件に取材に応じた元従業員の話とも一致する。生産ラインのチームリーダーをしていた元従業員も、食品安全や労働法上の違反は「毎日のように」行われていた、と語る。「誰かが床に落ちた肉をラインに戻したらすべての肉を捨てる規則だが、上司に言っても相手にされなかった」

 牛の毛の処理も問題だったと、元従業員は言う。牛を処分するとき、どうしても肉に毛が入り込んでしまう。生産ラインで毛を見つけたら肉ごと捨てる決まりだが、実際には毛だけ取り除いてそのまま流してしまうこともある。こうした異物を取り除く作業の前後にも、手袋を替えることはほとんどないと言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、政策の柔軟性維持すべき 不確実性高い=独連

ワールド

韓国、対米通商交渉で作業部会立ち上げ 戦略立案へ

ビジネス

日経平均は反発、円安を好感 半導体株高も支え

ビジネス

村田製作所、マイクロ一次電池事業をマクセルに80億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中