最新記事

旅行

土壇場の宿探しもAirbnbで簡単に

宿泊用に個人住宅を貸し出すウェブサービスで直前予約が可能に

2014年6月20日(金)12時46分
アリソン・グリズウォルド

無計画でも大丈夫 モバイルを使えば世界中でAirbnbの直前予約が可能 Courtesy Airbnb

 昨年の冬にメーン州へ出掛けた私は、格安モーテルに泊まることになった。予約していたホテルの部屋が数㍍の雪に埋もれてしまったからだ。部屋代が60ドルで済んだわりには、ベッドカバーがべたべたしたような部屋でなくてラッキーだった。当日になってメーン州で泊まるホテルを見つけるのは、それほど簡単なことではない。

 だが今後は、選択の幅が広がるかもしれない。Airbnb(エアビーアンドビー)で直前予約ができるようになるからだ。Airbnbとは個人が所有する空き部屋を、宿泊用などに貸し出すのを仲介するウェブサイト。08年の創業以来、急成長を遂げている。

 このサービスでは通常、部屋を提供するホストが利用者について時間をかけて調べてから、貸し出すかどうかを決める。だが、直前予約の場合はその手間は省略され、ほとんどの場合、ホストは利用者を選ぶ権利を放棄する。

 直前予約システムの導入により、Airbnbは冒険好きで衝動的で、大ざっぱな旅行者という新たな顧客を取り込もうとしている。「Airbnb体験を求めていながら、計画性がなくて使うことができなかった人々のためのサービスだ」と、同社幹部は言う。

 大切なのは「Airbnb体験」だ。それでこそAirbnbの直前予約を、当日予約アプリや格安モーテルと差別化できる。「たとえ1泊だけでも、ホストから地元の情報を得て、地元に暮らすような体験だ」と、同幹部は言う。

直前予約はモバイル限定

 今のところ、直前予約ができるのはモバイル・アプリからのみ。直前予約の検索は、ほとんどがスマホで行われるとAirbnbは考えているからだ。

 直前予約でも、普通の部屋から贅沢な邸宅まであらゆる宿泊先が対象になる。価格はホストが自由に設定できる仕組みだが、需要によっては価格を上げるホストもいるかもしれない(先月、直前予約システムの試運転が行われたときには、価格は変動しなかったが)。

 需要と供給の関係からすると、Airbnbの直前予約という新しい選択肢の登場で、ホテル市場全体の相場は下がるかもしれない。それはホテルにとってうれしい話ではない。規制当局もホテル業界の保護に動いているようだ。だが土壇場で安い宿泊先を探す厳しさを知っている人にとっては、このサービスの登場はまさに朗報だろう。

© 2014, Slate

[2014年6月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる

ワールド

米空母、南シナ海から西進 中東情勢緊迫化

ビジネス

ECB、政策の柔軟性維持すべき 不確実性高い=独連

ワールド

韓国、対米通商交渉で作業部会立ち上げ 戦略立案へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中