最新記事

ツイッター

フォロワー3万人買ってみた!

大量生産された偽造アカウントをまとめ買いして人気者に成り済ました記者の赤裸々体験記

2012年11月16日(金)14時55分
セス・スティーブンソン(フリーランスライター)

今や常識 セレブや政治家や起業家はフォロワーを水増しする時代 ILLUSTRATION BY NATALIE MATTHEWS. LOGO COURTESY TWITTER

 ツイッターをやっている人の約40%は、つぶやく(ツイートする)よりも他人のつぶやきを読むほうが楽しいと思っている。僕も同じだ。いろんな人のツイートに目を通して、重要なニュースや愛らしい動物の写真を見つけるのは、かなり楽しい。

 とはいえ、同僚のライターたちに何万人もフォロワーがいるのは内心羨ましいと思っていた。僕のフォロワーはたった1100人。まめに旬の話題をツイートしたり、誰かと知的なバトルを繰り広げれば、結構な数が集まるのかもしれない。

 でも、やりたいという気持ちはあっても、僕はそういうことを心から楽しむタイプではない。それにフリーランスライターの身としては、ただ働きのような気がしてしまう。そこで、インターネットで2万7000人のフォロワーを買うことにした。料金は202ドルだ。

 そんなことができると知ったのは今年7月、共和党大統領候補のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の選挙陣営が、ツイッターのフォロワーを購入した疑惑が持ち上がったときだ。8月にはニューヨーク・タイムズ紙が、「セレブや政治家、スタートアップ企業、ロックスターなど、ソーシャルメディア上に大きなプレゼンスがあると都合がいい人はみんな」フォロワーを買っていると報じた。

 では、買われるフォロワーの正体は何なのか。僕はファンミーナウ・ドットコムというサイトを運営しているアル・デルガドに聞いてみることにした。

 ここは僕がフォロワーを買ったサイトではないけれど、ツイッターのフォロワーのほかにもフェイスブックの「いいね!」の数やYouTubeの閲覧回数を売っていて、唯一電話がつながった会社だった。

偽物かどうかは判別不能

 デルガドによれば、購入できるツイッターのフォロワーは2種類ある。一方は、つぶやきの内容に関心がありそうな実在の人からなる「ターゲット・フォロワー」で、マーケティング会社が大金を積んで買っていく。

 もう一方は、単にフォロワー数を膨らませる偽造アカウントで、僕が買ったのはこちらのほうだ。デルガドはこうした偽造アカウントをインドから仕入れている。インドの技術屋たちが、機械的なコピーではなく本物の人間らしく見えるアカウントを大量生産しているのだ。

 デルガドの元には、毎日30〜35件の注文が舞い込む。たいていは1000〜5000の偽フォロワーを買う注文だが、「ときには100万フォロワーという注文もある」と彼は言う。「100万の値段は1300ドル。私の顧客はミュージシャンがほとんどだが、モデルやコメディアンやポルノ俳優も多い」

 偽フォロワーはフォロワーとして存在するだけで、何の活動もしない。僕のツイートをリツイート(引用)することはないし、僕がリンクを張った記事をチェックすることもない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米最高裁、教育省解体・職員解雇阻止の下級審命令取り

ワールド

トランプ氏、ウクライナに兵器供与 50日以内の和平

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中