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フォロワー3万人買ってみた!

2012年11月16日(金)14時55分
セス・スティーブンソン(フリーランスライター)

 人はなぜフォロワーを買うのか。人気者のイメージをつくりたいから(そして人気はさらなる人気を呼ぶから)、というのが1つの大きな理由だろう。実生活ではポンコツ車に乗っているのに、デートにはコンバーティブルのメルセデスベンツを借りて行くようなものだ。

 ツイッターのフォロワー数が多い人はソーシャルメディアで大きな影響力を持ち、無視してはいけない人物のように見える。

 偽フォロワーが本物のフォロワーを呼び込む効果もある。僕のツイッターも、偽フォロワーを購入してからは本物のフォロワーが急に増えた。たぶん僕の人気が上がっていると思って、ツイッターのほうで「おすすめユーザー」に表示する機会を増やしたのだろう。

 ツイッターの広報に問い合わせてみると、「ちょっと複雑で、としか答えようがありません」と言う。「フォロワー数だけが『おすすめ』の対象になる理由ではありません。1つの要因ではありますが、ほかにもたくさんの要因があります」

 それでも1つの要因ではあるわけだ。そして僕が見る限り、ツイッターはフォロワーの大部分が偽物かどうかを嗅ぎ分けるのはうまくない。ツイートも何もしないアカウントは、単に活動を休止中のユーザーと見なす可能性が高いようだ。

人気者になったという幻想

 個人や企業のソーシャルメディアにおける影響力を分析する会社クラウトでも、フォロワー数が増えると影響力がアップしたと考える。ただし同社の分析では、フォロワー数よりもリプライやリツイートの数をはるかに重視しているという。

 偽フォロワーを買うことには欠点もある。まずそれが発覚したら恥をかく。ステータスピープル・ドットコムというサイトは、ツイッターのフォロワーにどれだけ偽物が交ざっているか調べるアプリを提供している。

 だがこのアプリも完璧ではない。僕が使ってみたところ、僕のフォロワーのうち偽物と判定されたのはたった4%だった。逆に、活動を休止中と判定されたフォロワーは89%いたが、この中には僕のツイートを読むだけで何も反応しない本物の人間も含まれているはずだ。

 とはいえ、フォロワーの水増しが誰かを不快にさせたり、自分の信用を揺るがすのでない限り、こんなことをわざわざ調べる人はいないだろう。フォロワーが多い人は、ツイッター界の人気者だと思われるだけだ。

 自分でも嫌になるのだが、僕自身、自分の名前の横に大きな数字が表示されて他人が感心する姿を想像して、自尊心をくすぐられた。ばかばかしいことなのは分かっている。自力で何万人ものフォロワーを得た同僚たちと違って、僕はそんなプライドと達成感を得るにふさわしいことは何もしていないのだ。

 大量の偽フォロワーは決していなくならない。偽フォロワーを外すには、本物のフォロワーを切らないように2万9000のアカウントを1つ1つチェックしなければいけない。そんなことをやれるわけがない。

 だからゾンビたちは最後の日まで僕を追い掛け続ける。そして自分がズルをしたことを、永久に、静かに、僕に思い起こさせる。そして僕は時々罪悪感にさいなまれる。

 その半面、リンクを張ってもらうよう頼んだり、気の利いたことをつぶやくために頭をひねったり、自分の日常を他人にさらさなくても、ツイッターの世界の人気者になったことで楽しい思いもするだろう。

 効率重視のすご腕ビジネスマンと評判のロムニー(と135万人のフォロワー)なら、僕の仕事ぶりを褒めてくれるのではないだろうか。

(追記 この記事の英語版がネットで公開されてから数時間後に、僕のツイッターのフォロワー数は2万9000から1223に減っていた)

© 2012, Slate

[2012年10月24日号掲載]

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