最新記事

欧州債務危機

スペイン国債利回り「7%突破」の危険度

ギリシャ、アイルランド、ポルトガルも7%突破後に「破綻」した

2012年6月15日(金)14時53分
ミーナ・シルベンガダム

激震ユーロ 欧州第4位の大国スペインが市場に見放されたら Lmar Niazman-Reuters

 債務危機で崖っぷちに立たされているスペインの苦境はまだ続きそうだ。

 6月14日には、10年物国債の利回りが危険水準とされる7%を突破し、99年のユーロ発足以降の最高水準を更新。この前日に米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、スペイン国債の格付けを「A3」から3段階下の「Baa3」に引き下げたことが引き金となった。

「Baa3」は、投機的(ジャンク)等級の一段階上というぎりぎりの水準。しかしロイター通信によれば、今後3カ月のうちに再び格下げされる恐れもあるという。今回の格下げで、EUなどが救済に踏み切ることになる可能性が高まったと、ある金融業界筋はロイターに語った。

 10年物国債利回りの「7%」という数字は、いわば危険水域への境界線。この水準を超えると利回りの上昇に弾みがつき、自力での資金調達が困難になるとされている。ギリシャ、アイルランド、ポルトガルもこの7%を突破した後、EUなどへの支援要請に踏み切らざるを得なくなった。

 今のところスペインは、同じ運命をたどらずにすんでいる。ユーロ圏財務相は既に、同国の銀行の資金増強に向けて最大1000億ユーロ(約10兆円)の支援を行うことで合意している。もっとも、9日にこの決定が発表された後も、状況は一向に改善していない。

 一方で、7%という値は言われていたほど危険ではないかもしれないとの見方もある。CNNマネーによれば、イタリアは昨年11月に一時7%を突破したが、その後は6.2%前後まで低下。しかしこの1カ月でスペインの状況が悪化したことを受けて、イタリアの調達コストも上昇傾向にある。
 
From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

キューリグ・ドクター・ペッパー、JDEピーツ買収で

ビジネス

トランプ米大統領、クックFRB理事を解任 書簡で通

ワールド

空売り情報開示規制、SECに見直し命じる 米連邦高

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、週明けの米株安の流れ引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中