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マッキントッシュよ、安らかに眠れ

2010年6月10日(木)16時12分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

「自分にはiOSにはできないいろんなことができるのに」と君は嘆いているね。iOSなんて、これまでマルチタスクさえできなかったくせに。フン、私にないどんな機能があるって言うの? と。

 見方によってはiOSにあってMacにない機能はそれほどない。ある意味、iOS4はマックOSのサブセットに過ぎないと言えるだろう。だがスティーブの見方では、iOSはマックにはない大きな2つの利点を持っている。

昔のジョブズはもういない

 まず1つ目は、iOS4上でどのアプリケーションソフトを走らせるかを、アップルが文字通り選別することができるという点だ。同社のアップストアで公開するための審査を通して、アップルは完全な支配権を手に入れた。スティーブの支配欲は君も知っての通りだ。

 iPhone向けアプリはアップストアでしか販売できない。売り上げの30%はアップルの懐に入る。

 2つ目は、iOS4を搭載した携帯端末向けに始まる広告配信事業だ。マック、君は広告とは無縁だった。その点こそ、君の一番ステキなところだとスティーブも常々言っていたのにね。

 スティーブは昔、パソコンに趣味の悪い広告がごちゃごちゃ表示されることなど誰も望んでいないと説いていた。だが心変わりをしたらしい。iOS4はまるで節操がないから、広告がうじゃうじゃ表示されること請け合いだ。

 それで? スティーブはこれが素晴らしいことだと思っている。実際、彼は仕掛け人の1人だ。自分自身で広告も作っている。おまけに売り上げの40%はアップルのものになるという。

 そうだマック、君の言うとおりだ。スティーブは変わった。もう昔のスティーブではない。昔から彼はこうだったのに、私たちが気づいていなかっただけかもしれないが。

 マック、君のことは本当に気の毒だと思っている。だが君とスティーブは一世を風靡したじゃないか。君はたくさんの人々にひらめきを与えた。そう、私にも。

 ありがとうマック。本当に君は素晴らしかった。

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