最新記事

今年こそアニメがオスカーの頂点へ?

アカデミー賞を追え!

異色の西部劇から傑作アニメまで
2011注目の候補を総ざらい

2011.02.21

ニューストピックス

今年こそアニメがオスカーの頂点へ?

『トイ・ストーリー3』が作品賞を勝ち取るべき理由

2011年2月21日(月)16時09分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

 映画の世界でも選挙の季節が近づいてきた──アカデミー賞だ。今年最も成功した映画は『トイ・ストーリー3』だろう。全世界の興行収入でアニメ史上歴代1位を記録。アメリカの映画評論家の99%が称賛している。

 では、アカデミー賞の作品賞を勝ち取れるだろうか? アニメには無理、と言うのは早いかもしれない。以下に理由を挙げてみよう。

■興行収入 全世界の興行収入がアニメとして初めて10億ドルを超えた。イギリスでは『アバター』に次ぐ歴代2位。前回の作品賞はその『アバター』を素通りして『ハート・ロッカー』に輝いたが......。

■シリーズとしての評価 04年に3部作の最終章『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は11部門を制覇。最終章自体の出来はさておき、3部作全体が選ばれたと言える。『トイ・ストーリー』3部作も抜群の出来だ。

■影響力 『トイ・ストーリー』がなければ、『モンスターズ・インク』も『ファインディング・ニモ』も『シュレック』も生まれなかっただろう。気の利いた会話はアニメの新時代の先駆けとなり、ウイットに富んだ数々の大人向け作品につながった。

■涙(ネタばれ注意!) 最後の場面でアンディが自分のおもちゃに別れを告げる姿には、大人の男も涙を流す。選考委員は号泣する作品がお好き。

■トム・ハンクス ウッディの声を担当するトム・ハンクスはアカデミー賞の常連だ。

■選挙は「現職が有利」 締め切り直前に『タイタニック』のような大ヒット作が滑り込まない限り、「現職」つまり11月1日の時点で評論家に最も支持されている作品がほぼ当確となる。有力な対立候補は『ソーシャル・ネットワーク』くらいだが、フェースブックを使っていそうにない選考委員もいる。

 これだけの理由があっても、作品賞には手が届かないかもしれない。『スター・ウォーズ』や『E.T.』でさえ駄目だった。過去に作品賞にノミネートされたアニメ作品『美女と野獣』と『カールじいさんの空飛ぶ家』は、いずれも実写作品に敗れた。3度目の正直か、それとも3敗目となるか。

[2010年12月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中