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2009.08.07

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和と努力とガイジン選手

野球やサッカーで日本を語れば、社会の矛盾も魅力もよくわかる

2009年8月7日(金)12時56分
コリン・ジョイス

(左から)『和をもって日本となす』(You Gotta Have Wa)、『日本式サッカー革命』(Japanese Rules)、『ウルトラニッポン』(Ultra Nippon)

 日本社会に関する本を読んでみたら?――普通の英米人にそんなことを言っても、嫌がられるのが落ちだ。だが、スポーツの本を読むよう勧めたら、相手はうれしそうな顔をするだろう。

 これは、ジャーナリストが昔から使ってきた手法でもある。なじみの薄い国の話でも、サッカーの記事にすれば、一般読者の関心を集めやすくなる。

 実際、日本社会をスポーツの面からとらえた本は何冊も出版されている。いい例が、ロバート・ホワイティングが89年に発表した『和をもって日本となす』(邦訳・角川文庫)。日本のプロ野球チームでプレーするアメリカ人選手を題材に、日本の実像を描こうとした本だ。

 その約10年後、ジョナサン・バーチャルの『ウルトラニッポン』(無名舎)とセバスチャン・モフェットの『日本式サッカー革命』(集英社インターナショナル)が出版された。この2冊は、サッカーのJリーグを取り上げている。

 欧米のスポーツファンは、こうした本から何を学ぶのだろうか。彼らがまず知るのは、集団主義と日本人の国民性だ。

 ホワイティングによれば、日本では「個人主義」にはマイナスのイメージがある。彼は、日本で野球が好まれるのは、間を長くとれる点が国民性に合っているためだとも指摘。また、「努力」を絶対視する日本人は、成果を度外視して長時間の練習に励むとする。

 丸暗記と機械的な反復を強いる日本の教育が創造性を損なうことも、よく指摘される。サンフレッチェ広島の監督だったエディ・トムソンはバーチャルに、日本の選手は熱心で人の話をよく聞くが、「彼らに自分で考えさせるのは大変だ」と語った。

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