最新記事

「GMはとても順調だ」

ビッグスリー
転落の構図

世界最大のGMも陥落へ
米自動車20年間の勘違い

2009.04.08

ニューストピックス

「GMはとても順調だ」

業績悪化で破産申請の噂まで流れ始めたGMのワゴナー会長、ついに反論

2009年4月8日(水)16時50分

 ゼネラル・モーターズ(GM)の会長兼CEO(最高経営責任者)リック・ワゴナー(52)は、試練の時を迎えている。昨年の赤字は106億ドルに達し、販売台数世界ナンバーワンの座をトヨタに奪われようとしている。ワゴナーは、まさにデトロイト凋落の象徴だ。

 彼も必死だ。十数カ所の工場を閉鎖し、全米自動車労働組合(UAW)加盟の全従業員11万3000人を対象に早期退職制度を導入すると発表。ガソリン高の逆風にもかかわらず、新しいSUV(スポーツユーティリティー車)を投入して大逆転をめざすという。

 先週、さらなる試練が襲いかかった。SEC(米証券取引委員会)に提出した年次報告書の中で、過去数年分の業績を修正した。企業会計に対するGMの取り組み姿勢に疑問が投げかけられた。

 3月31日には、経営破綻した元子会社の自動車部品メーカー、デルファイが、労働組合との労働協約破棄などを含む再建計画を裁判所に提出した。労使交渉が難航して大規模なストライキに突入すれば、GM本体が破綻に追い込まれかねないと、アナリストはみる。

 経営陣への批判が高まるなか、ワゴナーがついに反論に出た。本誌デトロイト支局長キース・ノートンの取材に対して、現在の再建計画を擁護する論陣を張った。退任して外部の人材に舵取りを任せるべきとの意見も一蹴した。

──あなたの仕事上の立場は、どれほど危ういのか。

 まったく心配はない。結局、実績が評価されるとわかっているからだ。われわれが問題に取り組んだか、チャンスを生かしてきたかどうかが評価される。どちらとも前進している。はっきり言って、とても順調だ。だから私は自信に満ちあふれている。

──あなたはGM文化に染まっているから徹底的な改革を指揮することはできないとして、新しい血を求める意見もある。

 短絡的にすぎる。今ある問題は、80年から90年も歴史をさかのぼるような複雑な問題だ。よそから来た人間が、われわれのビジネスを理解してディーラーや組合と協力して問題に取り組むなど、ほとんど不可能だ。

──最近の新聞は、あなたの批判ばかりだ。読んでいるか。

 写真は見ている(笑顔で)。もちろん、主な新聞にはすべて目を通すが、正直なところ、じっくり考え込んだりはしない。

──いちばん悩ましい記事は?

 われわれが問題に取り組もうとしていないと言われることだ。それには、こう聞き返したい。「医療費150億ドル(削減)に12工場(閉鎖)、3万人(人員削減)、人員の自然減計画、有給従業員の医療費と退職金(削減)、販売とマーケティングの新戦略に生産計画。これらのどこをみて、緊急性を意識していないと言うのか」と。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中