コラム

ノーベル平和賞を狙う?...第2次トランプ政権の中東政策の行方

2024年11月19日(火)14時30分

サウジアラビアは昨年秋頃にはイスラエルとの国交正常化も目前とも言われていたが、ガザでの戦争を契機に「パレスチナ国家なくして国交正常化なし」と原点回帰した。

サウジ国内で対イスラエル感情が悪化するなかで、パレスチナへの手当てなく国交正常化を進めれば、王室への反発につながりかねない。39歳の若き皇太子にとっては、長く安定した王室運営が何より優先だ。

だが、もしサウジアラビアがパレスチナ国家樹立を条件にイスラエルとの歴史的な国交正常化をトランプに提案したとしたら、どうか。トランプは既に独自の「2国家解決案」を提示したこともあり、実現すればノーベル平和賞ものだ。目立ちたがり屋のトランプなら狙ってもおかしくない。

ネタニヤフ首相もムハンマド皇太子も大統領選での勝利を受けてトランプと早速電話会談し、直接祝意を伝えた。「トランプ・ファースト」が生む、変化と緊張の中で「ディール・メーカー」の取り込みをめぐる綱引きは、既に始まっている。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

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