コラム

習・プーチンの「150歳問答」と、始皇帝から続く「不老長寿」夢

2025年09月27日(土)18時00分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

実在した「150歳プロジェクト」

数年前、最高位の病院である北京の301病院(正式名称・中国人民解放軍総医院)は、「981健康プロジェクト」についてネットで公開した。05年に始まった共産党最高指導者層向け高級医療サービスで、最先端の医療技術を統合し、指導者の寿命を150歳まで延ばすことを目指している。

かつて始皇帝は不老不死を求め、部下の徐福に仙人探しを命じたが、徐福は巨額の資金を持って海に出たまま戻らず、始皇帝自身も49歳のときに水銀を含有した仙薬を服用して急死した。現代中国の臓器移植や遺伝子編集技術は、最高指導者に150歳の長寿という夢を実現できるのか? 少なくとも習はそう信じたいらしい。あと80年も生きるつもりだから、当面後継者も不要なのだろう。


ポイント

錬丹術
服用すると不老不死や空を飛ぶ超能力を持つ仙人になれる「丹薬」を製造する術。実際には有毒な硫化水銀や金を服用した。現在の「〜丹」という薬の名前は丹薬に由来している。

301病院
北京市西部の海淀区にある病院。母体は米ロックフェラー財団が戦前に建設した北京協和医学院。その後、軍直属の医療機関となり、現在は共産党指導者向け最先端医療で知られる。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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