最新記事
習近平

「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない中国で成長は実現できるのか

China’s “Smart Authoritarianism”

2026年2月13日(金)08時20分
ジェニファー・リンド (米ダートマス大学准教授)
習近平と中国国旗

習近平は統制と成長を両立できるのか Below the Sky-shutterstock

<自由を抹殺しながら成長を維持するという「壮大な社会実験」を世界が見つめている>

※この記事は後編です。前編「毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き進む習近平氏が恐れる『ソ連崩壊の悪夢』」はリンクからご覧ください。

だが、中国がソ連と同じ道を歩むとは限らない。確かに習は、国家と経済、そして社会に対する党の支配を強化してきた。国家主席に就任した当初から「党が全てを指導する」という毛沢東の言葉を引用し、「政府、軍隊、人民、学界を問わず、そして東西南北と中央とを問わず、党が全てを指導する」と強調してきた。

【動画】習近平の権威主義的な姿勢は、どのようにして中国経済を殺すのか

08年の世界金融危機以降、中国共産党は社会全体に政策を浸透すべく、民間企業(外国企業を含む)やNGO、大学など、あらゆる組織に党委員会を設置して、党の指導を徹底してきた。また、党の中央統一戦線工作部が企業経営者と面談して、党の期待を伝え、党と「政治的、知的、感情的に一致」させてきた。


ジャック・マー転落の意味

だが習の取り締まりは、とりわけテクノロジー分野でイノベーションを窒息させていると、専門家は言う。よく例に挙がるのは、配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が党の反対を押し切って、アメリカで新規株式公開(IPO)に踏み切ったところ、党の激しい圧力を受けて上場廃止に追い込まれたことだ。

ネット通販最大手のアリババ集団をゼロから築いた大富豪の馬雲(ジャック・マー)の凋落も、よく例に挙げられる。馬が政府の金融規制を公然と批判した後に、アリババの金融子会社アント・グループのIPOが3日前に突然中止になり、馬は表舞台から姿を消した。

リーダーシップ
「AIに使われるか、AIを従えるか」 一橋大学が問う、エージェント時代の「次世代エグゼクティブ」の条件
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

追加協調放出含め、さらなる対応を機動的に講じる準備

ワールド

トランプ氏、ホルムズ開放なければ「カーグ島」標的と

ワールド

米提案「非現実的」とイラン、イエメンなどからイスラ

ビジネス

ECB、政策調整でためらいや先回りはせず=レーン専
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中