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証人喚問で共和党を蹴散らしたヒラリーの、残された「死角」とは
というのは、サンダース候補は「自称社会主義者」だけあって、究極の大きな政府論、そして非常に強めの再分配による格差是正論を掲げています。そのサンダースの「左派政策」が民主党の党内世論に影響を与えているのです。アメリカの景気は好調ですが、好調の中に雇用への不安はあるし、好調なゆえに再分配を強化せよという空気も一方ではある中、どうしても党内世論は左へ傾いてしまうのです。
こうした空気を受けて、ヒラリーの政策もかなり左へシフトしています。公聴会での「勝利」を受けてフルパワーで遊説を再開したヒラリーは、24日に新しいスローガンを公表しました。それは「アメリカは十分に偉大であり、(残る課題はこれ以上の拡大ではなく)国内での公正さの確保だ。アメリカは一部のトップクラスの人間のものではなく、万民のためのものにしなくてはならない」というものです。
このスローガンは、共和党のトランプがいつも言っている「自分はアメリカをもっと偉大にする」というスローガンへのアンチという形を取りながら、自分の左派ポジションを明確にするものと言えます。そして、党内には中道的な立場からヒラリーを止める存在は残っていないのです。このままですと、相当の確率でヒラリーは民主党の統一候補に指名されるでしょう。ですが必要以上に左に寄ってしまうと、本選で中道票の離反に遭う危険性もあります。そこがヒラリーの死角になっていると思います。