プレスリリース

室温で薄膜トランジスタを作製する新技術 10月23日にJST新技術説明会でオンライン公開

2025年10月17日(金)14時00分
工学院大学(学長:今村 保忠、所在地:東京都新宿区/八王子市)の相川 慎也教授(電気電子工学科)は、紫外線を利用した薄膜トランジスタの製造プロセスに関する研究を進めています。このたび、安定性に優れたアモルファスIn2O3系薄膜トランジスタを、熱処理を行わず室温で作製できる新技術を開発しました。照射環境と紫外線波長を工夫することで、基板の加熱を抑制し、耐熱性の低いプラスチック基板にも適用可能です。10月23日にオンライン開催されるJST新技術説明会(主催:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、工学院大学)において最新研究成果を企業に向けて紹介し、社会での技術活用を進めます。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/551136/LL_img_551136_1.png
紫外線照射を利用した薄膜トランジスタの室温作製プロセス模式図(左)とUV照射前後の電気特性比較(右)

本技術は、紫外線照射を利用して、安定性に優れたアモルファスIn2O3系薄膜トランジスタを室温で作製する新しいプロセスです。従来はフォトンエネルギーの高い紫外線が用いられていたため、照射中に意図しない加熱が生じ、基板温度が150℃程度まで上昇することが課題でした。本技術では、照射環境と紫外線波長を工夫し、さらに照射後に静置時間を設けることで加熱を抑制し、完全な室温プロセスを実現しました。これにより、基板温度は30℃未満に抑えられ、耐熱性の低いプラスチック基板を用いた作製も可能となります。工程が大気中で完結するためプロセスも簡便であり、薄膜トランジスタ製造における新しい選択肢を提供します。
薄膜トランジスタはディスプレイをはじめとする電子機器に幅広く使われており、その製造工程の効率化は社会的にも重要な課題です。本技術は、熱処理を伴わず室温で作製できるため、これまで困難だった耐熱性の低いプラスチック基板への応用が可能となります。これにより、軽量で曲げられる電子デバイスの実現に道を開き、身近な機器の省エネルギー化や新しいライフスタイルの創出に貢献します。


■特許情報
発明の名称:薄膜トランジスタの製造方法
発明者 :相川 慎也、山寺 真理
出願人 :学校法人工学院大学
出願番号 :特願2024-146809、特願2025-021797


■工学院大学 新技術説明会 開催概要
日時 : 2025年10月23日(木) 10:00~11:55
開催場所: オンライン開催
主催 : 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、工学院大学
参加料 : 無料
事前申込: 必要
申込方法: https://jst-shingi.smktg.jp/public/seminar/view/12442


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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