プレスリリース

自治体の災害廃棄物処理業務を支援する「災害廃棄物量推計サービス」を提供開始

2025年09月17日(水)10時30分
MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(代表取締役社長:宮岡 拓洋)は、地震発生直後に災害廃棄物量を迅速に推計し、自治体の災害廃棄物処理業務を支援する「災害廃棄物量推計サービス」の提供を開始しました。本サービスは、当社独自のAI地震被害推定技術を活用し、地震発生直後に災害廃棄物量を精度良く推計します。これにより、自治体による災害廃棄物処理計画の実効性を向上させ、初動対応期における業務効率化に貢献します。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/544241/LL_img_544241_1.png
災害廃棄物量推計パッケージ

詳細URL: https://www.irric.co.jp/topics/press/2025/0910.php?utm_source=press&utm_medium=referral&utm_campaign=20250917_1


1. 背景
近年、地震などの自然災害が頻発しており、そのたびに大量の災害廃棄物が発生しています。災害が発生した際、自治体はできる限り迅速に災害廃棄物量を把握し、処理のための実行計画を策定する必要があります。また、受援を含めた対応体制の整備や、仮置場の確保、災害廃棄物処理フローの構築、広域連携や広域処理に向けた調整などの業務を行うことが求められます。従来の災害廃棄物量の推計手法では、全壊、半壊などの建物被害の件数をもとに、床面積当たりの廃棄物発生量から算出を行います。しかし、災害直後に建物被害の情報を入手することは難しく、地域ごとの建物構造の割合や、1棟あたりの延べ床面積の違いを考慮しないと、推計の精度が低下する課題がありました。
そこで、当社は名古屋大学の平山 修久准教授の指導のもと、環境省の推計手法を基に独自の改良を加えた「災害廃棄物量推計サービス」を開発しました。


2. サービスの概要
(1) 災害廃棄物量の推計
当社独自のAI地震被害推定手法を用いて、建物の被害件数を精度よく推定します。この推定結果に、環境省の手法 1), 2)を組み合わせて、災害廃棄物量を推計します。推計結果から250m四方のエリアごとに災害廃棄物の種類別の量を把握することができます。近年の地震における推計精度は、実際の処理量に対する誤差が20%以下と高く、災害廃棄物処理の実行計画をより早く、的確に策定するための情報としての活用が可能です。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/544241/LL_img_544241_2.jpeg
【災害廃棄物量推計手法(MS&ADインターリスク総研にて作成)】
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/544241/LL_img_544241_3.jpeg
【近年の地震における災害廃棄物量の推計精度[単位:万トン](MS&ADインターリスク総研にて作成)】

(2) 推計結果の提供
一連の推計フローを自動プログラム化し、発災後、最短10分以内で推計結果を提供します。これにより、確定情報を待つことなく推計情報に基づく災害対応の早期着手が可能となります。分析結果は当社のデータ可視化ツール(データvisualizer※3)を用いてウェブブラウザ上で確認することができます。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/544241/LL_img_544241_4.png
【災害廃棄物量推計サービス活用イメージ(MS&ADインターリスク総研にて作成)】

(参考文献)
1) 環境省:災害廃棄物発生量の推計精度向上のための方策検討―過去5年間の検討成果報告―, 環境再生・資源循環局 災害廃棄物対策室,2022.
2) 環境省:災害廃棄物等の発生量の推計方法,災害廃棄物対策指針(令和5年4月28日改定)【技14-2】,2023.

※1 AI地震被害推定手法とは
過去の地震の観測情報と保険データを用いて深層学習により、防災科学技術研究所と共同開発した独自の地震被害推定手法です。地震被害の推定は地震発生後10分以内を目標に、まず既存の手法で行います。次に地震発生から数時間後に、AIによる推定を行います。震度情報だけではなく、地震の揺れの特徴に関する情報が含まれる応答加速度を学習させることにより、より精度の高い被害推定情報を提供します。

※2 日本全国住宅資産データとは
全国の住宅関連情報(構造・階数等)を250m四方ごとに整備したデータベースです。扱いやすいデータ構成で被害シミュレーションや経済分析などに活用できます。官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の研究結果をベースに、当社が開発したものです。
https://rm-navi.com/contents/lp/iedsales/index.html

※3 データvisualizerとは
災害発生時の被害推定や災害範囲の予測等、様々なデータを地図上に可視化できるWebツールです。シンプルな画面構成で地域毎の集計表示等の操作を直感的に行うことができます。これにより、必要な情報を迅速にかつ分かりやすく確認いただけます。

<主な搭載データ>
災害廃棄物量推計データ、自然災害被害推定データ(地震・水害)、日本全国住宅資産データ【サンプル】、道路冠水想定箇所データ【サンプル】 など


3. 今後の展開
本サービスにおける災害廃棄物量の推計手法は、自治体における平時の災害廃棄物処理計画の策定においても活用可能です。今後、平時における対策から発災時の対応まで総合的にサポートするサービスへの拡張を予定しています。また、名古屋大学の平山 修久准教授の指導のもとで、推計精度の継続的な向上を図るとともに、水害への適用などについても検討していきます。


4. お問い合わせ・購入について
お問い合わせ・購入については下記の当社HPから可能です。年間利用料は、人口規模、契約開始時期(平時、または、災害時)に応じて決定します。
(データvisualizerへの無償ユーザー登録により、過去30日間以前のデータを閲覧することも可能です)
https://rm-navi.com/search/item/2174?utm_source=press&utm_medium=referral&utm_campaign=20250917_3


【MS&ADインターリスク総研株式会社について】
本社 : 〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町2-105 ワテラスアネックス(10~11階)
代表者 : 代表取締役社長 宮岡 拓洋
設立 : 1993(平成5)年1月4日
資本金 : 3億3,000万円
URL : https://www.irric.co.jp/
事業概要: コンサルティング、受託調査研究、
セミナーの開催/講師派遣、出版


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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