Picture Power

【写真特集】「記憶を持った鏡」に日々を映して

QUOTIDIAN MIRRORS

Photographs by TAKASHI ARAI

2023年07月01日(土)17時30分

『2021年1月4日、鏡ごしのセルフ・ポートレイト、川崎』

<磨き抜いた鏡面に被写体を描出するダゲレオタイプが、不確実さを増す現代の社会を映し出す>

新井卓(たかし)は、磨き抜いて鏡面にした銀板に被写体を描出する、19世紀前半に考案された写真技法のダゲレオタイプを用いる数少ない写真家の1人だ。東日本大震災があった2011年から取り組んでいる「毎日のダゲレオタイプ」シリーズより厳選された作品展『日日(にちにち)の鏡』が、7月5日から東京・港区のギャラリー、PGIで開催される。

震災以降も新型コロナのパンデミックが起こるなど、社会は不確実さを増している。頻繁にリセットボタンが押されるような、よりどころのない日々の中で連綿と続く新井のパーソナルな記録。それは「記憶を持った鏡」(ダゲレオタイプの別名)の中で脈打ち、忘却にあらがっている。

arai02.jpg

『2014年10月14日、食べかけのリンゴ、サンアントニオ』


arai03.jpg

『2015年1月2日、正月の皿、川崎』


arai04.jpg

『2022年2月5日、隔離ホテル、横浜』


arai05.jpg

『2022年5月1日、ノリア、川崎』

©Takashi Arai, Courtesy of PGI

■新井卓 作品展 『日日(にちにち)の鏡』
2023年7月5日−8月23日/PGI:https://www.pgi.ac

■新刊本『百の太陽/ 百の鏡──写真と記憶の汀』
(岩波書店、2023年7月刊行)

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏経済なお脆弱、ECBの追加刺激策必要=ポル

ワールド

イランの報復に米警戒、攻撃から一夜明け 「体制転換

ワールド

米議員がトランプ氏の対イラン軍事行動に反発、抑制へ

ワールド

ローマ教皇、AI巡る課題指摘 若者への影響に懸念
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story