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【写真特集】リアル過ぎる赤ちゃん人形が愛される理由
REBORN BABY BOOM
Photographs by DIDIER BIZET

スペイン・バレンシアで開催される「エクスポ・ドールショー」は、リボーンドール作家や収集家が集う欧州最大の展示会。作家のビアンカ・フランケ(左)は「子供」たちの細部の作りを熱心に見ていた
<赤ちゃんの超リアルな質感が再現された人形は、世界中で多くの人の孤独を癒している>
本物の赤ちゃんのようなシリコン製の人形「リボーンドール」がアメリカで生まれたのが1990年代。今やロシアから中国、カナダ、日本まで世界中で愛され、多くの収集家や人形作家がいる。
リボーン、つまり「生まれ変わった」赤ちゃんのすごさは徹底的なリアリズムにある。世界に約2万人いるという作家の手で、あざや血管、髪、毛穴といった細部や、赤ちゃんの超リアルな質感が再現されている。
人形を求めるのは、子供を失ったり持てない人だけではない。癒やしを求める人もいれば、アルツハイマー病の高齢者を安心させたり、小児科医の研修目的で使う人もいる。
緻密ゆえの不気味さを強調する報道もあるし、「死んだ赤ちゃん」のように見えるという声もある。それでも人々はリボーンドールを「養子」にし、自分の子供のように愛情を込めて世話をする。服を着せ、ベビーカーで散歩をさせ、部屋をこしらえてやる。
彼らにとって、人形は孤独を癒やす薬。偽物の赤ちゃんでも、本物の幸福と愛をもたらしてくれる。つまりリボーンドールは希望や幸せ、安らぎと同義なのだ。
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