コラム

警官を見たら殺し屋と思え? アブなすぎるアメリカの実態

2015年06月25日(木)12時40分

 「見た? アメリカの警察の、あのひどい映像。相手が武器も持っていないのに、あんなことするんだね~。ありえないわ~。」 最近こういう会話をよく耳にする。

 何がすごいかというと、話題になっているのが「何の映像? 何の事件」ではなく「どの映像? どの事件?」と迷ってしまうところが、だ。

 アメリカでの警察官による暴力事件が多すぎて、どれを指すのか分からない。

 記憶に新しい事件だけでもこんなにある:

・14年7月、ニューヨーク――丸腰の黒人男性を窒息死させた。

・翌8月、ミズーリ州ファーガソン――丸腰の黒人青年を射殺。

・そして11月、オハイオ州クリーブランド――でおもちゃの銃で遊んでいた12歳の黒人少年が撃ち殺された......これは特に衝撃的で、警察が現場に到着してから数えて、3秒以内に少年が殺された。つまり、ここまでこの記事を読むのにかかった時間よりも短いってこと。早業すぎる。

・今年4月、サウスカロライナ州ノースチャールトン――交通違反で止められ走って逃げようとした丸腰の黒人男性に、背後から8発を撃ち込んで殺害。

・同月、メリーランド州ボルティモア――黒人男性(丸腰)を逮捕し手錠をかけ警察車両に乗せた。健康体だったはずの男性は、警察署に着いた時点で脊椎が損傷していて、一週間後に病院で死亡した。

・この6月、テキサス州マッキニー――プールパーティーをしていた10代の黒人青年を、銃を振り回しながら追いかけた挙げ句、ビキニ姿の黒人少女を投げ倒し、地面に顔を押し付けた。水着姿ということは、わざわざ「丸腰」と言うまでもない。

 どれもここ1年ほどで、日本でも話題になった事件。これらの事件を羅列するにあたり、僕は何も調べずに思い出せる程度で書いている。記憶力の自慢じゃない。(昨日の朝ごはんは思い出せないぐらいだからね)。それぐらいアメリカの警察暴力事件が多いってこと。いたるところで起こっている。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 6
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 7
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下にな…
  • 8
    【テイラー・スウィフト】薄着なのに...黒タンクトッ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story